ジャッジメント JUDGEMENT:審判
Tarot-No.20

2017/02/08改訂

本体名:カメオ

能力:「記憶の中の人や物」を土を使って実体化させる

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
ジャッジメント 身体・能力加形体
(本文参照)
100m以上 環境パワー伝達
土人形 心象複写体 100m以上 全操作分離

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
  • 「審判」のパスは成長するものが、外界で耐えられるように自身を保護する「補強」を行う。
  • ジャッジメントは人の心の中の記憶を「土」で補強して実体化させる能力を持つ。

タロット解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。

そして22枚のタロットのうち、「卓越せしもの」を暗示する「アヌビス」のセフィラと、「遊離せしもの」を暗示する「オシリス」のセフィラを結ぶ「審判」は、「構成要素の補強」を暗示するカードである。

生命の樹において「月」のパスの反対側に位置する「審判」は、「月」で行われる「脱出」への対応として「補強」を行うパスである。滞在していた分野から外へ出た直後の成長体は、人間が空気中から真空に出た時のように、分野内にあった環境的な保護を失った状態にある。この状態の成長体に、宇宙服のように保護を与えて分野外の環境に耐えられるようにすること、それが「審判」の行う「補強」である。

「審判」の補強は多くの場合、成長体の体外に接する表面部分を覆う形で施される。ただしこの補強は成長体を守ると同時に、まるで分厚い宇宙服のように、外部に対する成長体の動作を少なからず不自由にし、外部に対する知覚能力も少なからず鈍らせてしまう。

これは別の見方をすれば、成長体が「外界から隔離」されたような状態になるということである。そしてこの隔離の度合いが強いほど、成長体の感覚は自然に成長体の「内」へと向けられる。それは「審判」に続く「世界」のパスで起こる変化に大きな影響を与える要素である。

人の「内なる記憶」の中には単なる情報としての記憶だけでなく、過去の自分の行動に対する「心地よい記憶」と「辛い記憶」も眠っている。そして人の心は生物学的に、ネガティブな記憶をより補強するようにできているため、失敗や後悔の記憶はいつまでも心の中に残り続け、何かの拍子に思い浮かんでは自分を煩悶とさせる。

しかし人の心がそのように出来ている目的は、「未来」において同じ過ちを犯さないようにするためであり、「過去」という決して変えられないものに縛り付けるためではない。自分の過去の過ちに反省しないのは人として間違っているが、過去の重荷に囚われて未来への歩みが鈍るのも本末転倒である。重要なのは過去を正しく引き受け、それを未来に正しく繋ぐことである。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。

スタンド解説

人の記憶の中にある「人や物」を、「土」を使って作り出す能力を持つ人型スタンド。その姿はロボットのような外観と関節構造を持ち、全身を覆う厚い装甲は上半身の特に両肩が大きく屈強な印象を与え、肘などの関節部も重機のように重厚に形作られている。またその頭部は両目が半透明のカバーで、鼻と口のある部分が大きなカバーで覆われ、さらに頭部の左半分がヘルメットを斜めに被せたかのように覆われている。そしてその両手はボーリング玉のような球体の穴から3本の指が伸び出た構造になっている。

いわゆる生命エネルギー体であるスタンド体は、本体の内的世界から物質世界という「外」に取り出されたものである。人型スタンドは基本的には「裸」のまま取り出されても、外の世界で問題なく存在できる。だが個々のスタンドによっては体表部分を中心に補強が施される場合もある。そのようなスタンド体は頑丈さが増し、本体から遠く離れても形を維持しやすいという利点を得る。しかしその一方で補強が過剰になるほど、その動きは不自由になり、皮膚感覚を始めとした知覚能力も鈍る。

またスタンド使いは物質世界でスタンド体を構築するにあたって、自分の生命エネルギー以外のものをスタンド体の補強に用いることもできる。利用できるものは例えば「物質」や「他者の生命エネルギー」である。ただしこの場合それらは、構築しようとするスタンド体に親和性が高かったり、協力的であったりしなくてはならない。

ジャッジメントが相手の心の中にある記憶を「土で作り出す」には、何らかの方法で「その記憶を受け取る」必要がある。その手段はおそらく、相手から発せられる「願いが込められた声」である。相手が「物」や「人」を思い浮かべながら願いの声を発することで、ジャッジメントはその記憶を受け取って実体化させることが可能となる(ちなみにジャッジメントのスタンド体は胸板の辺りだけ少し装甲が薄く、また穴が多数開いているが、あるいはここは「マイク」のように、対面している相手の「声」と「記憶」を感度良く受信するための器官なのかもしれない)。

そして「願いの声」を相手から聞き出すために、作中でのジャッジメントはポルナレフに対して、自分がおとぎ話に出てくる「ランプの魔神」であるかのように振る舞い、「3つの願い」を叶えるという名目で彼から 記憶を引き出していた。

「願いの声」を受け取ったジャッジメントは、いったんスタンド体を消し去って土中に入り、土中の適当な場所の、地面から浅い所に受け取った記憶を「投影」して、その記憶を土で再現する。そうして形作られた「物」や「人」は、土で出来てはいるものの充分な固さと精細さを持ち、表面の質感も金属の輝きから布や肌に至るまで本物そっくりである。

そして「願った者」の記憶どおりに作られているそれは、金銀財宝であろうと蘇らせた死者であろうと、願った当人からすればまさに本物にしか見えない(なお人間が作られる場合にはその「衣服」は、願った者の中でその人間に特定の衣装のイメージが強ければその衣装とともに作られるが、そうでない場合には裸で作られたりもするようである)。

そして願いで作られたものが「人間」であるなら、その土人形は当然生きているかのように喋り、動く。そして土人形の声や仕草や会話の内容もまた、願った者の記憶どおりである(ちなみに土人形が動くためのエネルギーはジャッジメントからはもちろん、「願った者」からも供給されることになる)。

なお作中で作られた2体の土人形は、どちらも顔の半分が不完全で奇怪な形になっていたが、これはおそらくジャッジメントがあえてそうしている。こうすることで土人形は、生者の肉を喰らえば欠けた部分を補完できるという強い本能に支配され、また欠けた記憶の在り処である「願った者」を強く求め、まるでゾンビのように願った者に襲いかかるのである。

この時の土人形の動きはまるでリミッターが外れた人間のようであり、獣のような跳躍力で相手に飛びかかり、歯や指を相手の肉体に全力で突き立て、噛みちぎり、えぐり取る。ただ土人形の強度は人間と同程度であるものの柔軟性では劣り、強い衝撃を受けると体が砕けてしまう。

ジャッジメントの本体であるカメオのスタンドエネルギーは、能力の性質上「土」との親和性が非常に高い。そしてカメオは自分の周囲の大地にスタンドエネルギーを流し込み、そこから人型スタンドを出現させるということができる。この手順によって出現するジャッジメントは、普通の人型スタンドとはかなり異なる特徴を持つ。

ジャッジメントは外観はもとより体内もパイプが組み合わされた非生物的な構造をしている。これは本来なら本体身体と対応して形成されるべき人型スタンドが、大地と対応して形作られたパーツによって補強され、置き換えられた結果である。そして大地からパーツを作り出す手法は、土人形を作るのと同じ「記憶の投影」である。土人形と違うのは、それらが土で直接イメージを作り出しているのに対して、ジャッジメントは大地から間接的に出現する形でイメージを出現させている点である。

この特徴によりジャッジメントは、装甲などが破壊されても本体にダメージを返さない。ただしスタンド体の「芯」の部分には「大地のパーツ」で置き換えられていない、本体身体と対応する部分が残っているらしく、スタンド体が大きく破壊されればその衝撃や痛みは本体に伝わるようである。

また本体からスタンドエネルギーを流し込まれた大地は、本体からジャッジメントへエネルギーを伝える「伝導体」の役割も果たす。この効果でジャッジメントの射程距離は、パワー型スタンドでありながら100m以上に伸びる。作中での本体カメオはこれを利用して、自分は忍者の土遁の術のように土中に隠れて、スタンドだけを射程距離内で活動させていた(ただしジャッジメントは現在位置の周囲の大地と対応して形成されているため、大きく移動する際にはいったんスタンド体を消し去り、移動場所で再出現する必要がある)。

ジャッジメントは他のスタンドとの戦闘では、その重厚な構造を攻守両面で活かしてパワフルに戦える。またこれに加えて、大地との対応で形作られているジャッジメントには、大地と見えないワイヤーで結ばれているかのように自分の位置を固定できる性質がある。この性質により、ジャッジメントの分厚い装甲は敵の攻撃を城壁のように力強く跳ね返し、ボーリング玉のような拳はクレーン車の鉄球のように敵を重く打ち据えることができる。

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