シルバーチャリオッツ SILVER CHARIOT:銀の戦車
Tarot-No.7

2017/03/16改訂

本体名:ジャン・ピエール・ポルナレフ

プロフィールJC16巻P26

能力:甲冑をまとい剣を振るう騎士のスタンド

スタンド形成法射程距離パワー
身体・能力戦闘体 2m

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
  • 「戦車」のパスは成長するものが、分野内から成長に役立つ材料を切り出す「分割」を行う。
  • シルバーチャリオッツは鋭い切れ味の剣を操る「騎士」のスタンドである。

タロット解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。

そして22枚のタロットのうち、「開放せしもの」を暗示する「ゲブ」のセフィラと、「分割せしもの」を暗示する「セト」のセフィラを結ぶ「戦車」は、「材料要素の分割」を暗示するカードである。

生命の樹において「法皇」のパスの反対側に位置する「戦車」は、「法皇」で行われる「探索」への対応として「分割」を行うパスである。探索によって分野内に見つけ出された材料要素はその時点では、宝石の採掘現場の岩塊のように、玉石混淆の状態にある。この状態の材料要素から価値や意味のあるものを切り出すのが「戦車」の行う「分割」である。

またこの分割には、物理的ではなく「認識」として行われるものも含まれる。例えば人が目の前の光景を見る時には、それは「ひとまとまりの映像」として目に入る。その映像の中に含まれる個々の物体を脳内で切り出すのもまた、「戦車」の行う「分割」に該当する。

こうして切り出された材料要素は、「戦車」の先のパスで成長のために利用され、成長に役立つものほど良い要素ということになる。そして仮に、成長に役立つ要素を「白」、邪魔になる要素を「黒」と呼ぶことにする。

単純に考えれば自分の「肉体」「家族」「道具」など、自分の味方になってくれるものは白、自分の円滑な活動を邪魔するものは黒である。しかし自分の邪魔になる黒の要素でも、それが自分に程よい試練を与えて成長させてくれるなら、それは白と見ることもできる。また自分の味方になる白の要素でも、それが便利すぎて自分を成長させてくれないなら、それは黒と見ることもできる。これ以外にも材料要素の黒白は視点によって複雑に入れ替わる。またある要素が結果として自分にとって白だったのか黒だったのか「灰色」な場合も少なくない。

多くの人は自分の人生が自分に都合の良い白の連続だけで輝かしく進むことを願う。しかしそれは多くの場合叶えられることはない。そうである以上、自分の人生が黒と灰色にまみれることを覚悟し、それらとともに歩む中で白を求めていく「銀」の輝きのような生き方こそが、人に選べる次善の道であり、そう生きられるかどうかは自分の心にかかっている。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。

スタンド解説

■鈍く銀色に光る甲冑をまとい、銀色に煌く剣を操る「騎士」のスタンド。その姿は(甲冑を着込んだ状態で)通常の人型スタンドと同程度の体格である。甲冑は見る角度によってコントラスト豊かに黒白が入れ替わり、肩当てや肘など身体各部には大きく目立つトゲが付き、兜の奥には大きく丸い目が覗く。そしてこのスタンドが手にする刃渡り1mほどの剣は、フェンシングのそれに似た刀身と鍔(つば)を備える。

■いわゆる「生命エネルギー」をスタンド体として「固める」ための要素の1つは、本体の「認識」と「集中力」である。これらが強いほどスタンド体は確かな姿で形作られ、またそのようなスタンドほど構造は細密になり、動作の正確性も増すことになる。

■またスタンド体が動作する速さには、「時間」に対する本体の認識と集中力が大きな影響を与える。本体が脳内で時間を細かく切り分け、その一瞬一瞬に集中できるほど、スタンドの反応速度は速くなり、スタンドが動作する密度も高くなる。そして上述した「細密に作られたスタンド」ほど、この反応速度にしっかりと応えることができる。

■「騎士のスタンド」を生まれ持った天然のスタンド使いである本体ポルナレフは、「人並み外れた感受性」を心に宿した人間である。普通の人間より多くを感じ取れてしまう者は、生きる上で万事において気が散ってしまいがちになる欠点を背負っている。それゆえにそういった人間が普通に生きるには、感じ取れてしまう数多の情報の1つに「集中する力」と、情報の受信感度を抑制する「心の防壁」が必要となる。この2つの力を生まれて間もなく身につけたポルナレフは、それと同じ理屈をスタンドエネルギーにも働かせ、「剣」と「甲冑」を作り出す能力を獲得したのである。

■そしてさらにポルナレフはこれら2つの心の力を、10歳前後からの10年近い修業によってさらに伸ばしている。この修業によってチャリオッツの剣撃は正確無比を極め、ポルナレフの比類なき集中力とともに、一瞬の「機」に合わせて空間の一点を精確に突くのも造作ない。

■ちなみにこの修業の理由はおそらく、武人が武術に打ち込んで迷いや雑念を振り払うのと同じく、ポルナレフにとって少年特有の多感な時期や、母親や妹との死別を乗り越えるためのものである。「目に見える心の力」であるスタンドはポルナレフの乱れた精神状態を強く映す鏡であり、これを制御することで精神修養を図るのは彼にとって自然なことだったのだろう。

■チャリオッツが手にする「剣」は、ポルナレフの集中力でスタンドエネルギーを超高密度に凝縮して作られている。フェンシングの針に似たその刃は先端で「突く」だけでなく側面で「斬る」こともでき、また硬いと同時に柔軟性も備えており良くしなる。なお集中力で作られているその刃は破壊されても本体にダメージを返すことはないが、破壊された後で再び形作るには1分前後の時間が必要なようである。

■この剣の攻撃力は基本的に、「線」で攻撃対象に触れる斬撃よりも「点」で触れる刺突のほうが強い。そしてその破壊力は、命を持たない物質に対しては石や鉄でもバターのように切り裂ける。一方でスタンド能力への抵抗力を持つ敵スタンドやその本体には、斬撃ではあまり満足なダメージを与えられないが、刺突であれば十分深く刺し貫くことができる。

■チャリオッツが全身にまとう「防御甲冑」は、剣と同じくポルナレフの集中力でスタンドエネルギーを凝縮させて作られている。その厚みは身体各部で異なるが、厚い所でも5cmくらいである。ただしこの甲冑は(体積の多さもあって)剣ほど高密度には作られておらず、その硬さは普通の人型スタンドの体表を少し上回る程度といったところである。それでも無論これは、中の人型スタンドとそれに対応しているポルナレフ本体を守る用途は十分果たせる。

■さらにポルナレフはこの甲冑をあえて脱ぎ去ることで、スタンドを身軽にして動作のスピードアップを図れる。前述したとおりこの甲冑は、ポルナレフの鋭敏すぎる感覚を抑制する「心の防壁」から生まれたものであり、それを脱ぎ去ることでポルナレフの反応速度は加速される。そして一回り細身になったチャリオッツは敵スタンド使いが目で追いきれないほどの速度で動けるようになる。(ちなみに甲冑を脱ぐ際のチャリオッツは、甲冑内側のスタンドエネルギーの凝固を解除することで、圧縮空気のように甲冑を吹き飛ばし、全身の装甲を一挙に脱ぐことが可能である) 

■なお、このように「ポルナレフの集中力」に大きく依存して形作られているチャリオッツは、ポルナレフからの「認識」が弱まると、高水圧下で生きる深海魚が浅瀬に移動したかのような機能不全を起こす。この影響は「ポルナレフの視界外」で特に顕著に現れ、この時のチャリオッツは外見には変化はないが、「目」などの精密な感覚器官は機能を失って何も見えなくなり、甲冑の強度は低下し、剣を振る速さや切れ味も大きく鈍ってしまう。

■またこの「集中力に依存する」チャリオッツの性質は、3部終盤の敵スタンド「クリーム」との戦いで、「射程の増加」という効果も見せている。通常スタンドのパワーは電球の明かりのように本体から離れるほどに弱まってしまうが、ポルナレフは集中力によって懐中電灯の明かりのようにスタンドエネルギーの指向性を高め、高パワーを維持したままチャリオッツの射程を10mほどに伸ばしていた。

■ただしポルナレフはこの射程増加状態に意識してなることはできない。作中では人間を簡単に消し去れるクリームの能力に仲間のアヴドゥルをあっけなく消され、その激情と恐怖で集中力が極限を超えて高まった結果、偶発的にこの効果が現れ、そして戦いの後には失われていた。

■戦闘時以外のポルナレフは並外れた集中力の反動なのか、かなり気を緩ませて鈍感に過ごしている。ただそれでも人混みを歩くときなどは、他者からの「殺気」に対してのみは鋭い感受性を保ち、周囲を警戒している。彼はそれを特定方向からの肌を刺すような感覚として感じることができ、その方向に目を向ければ高い確率で発信者を特定できるようである。

■使用技■

◆残像分身群◆
甲冑を脱ぎ捨てたチャリオッツをポルナレフから半径2mの射程内で超高速移動させ、扇風機の羽のように「残像」を多数生み出し、剣撃を繰り出させる技。その残像の数は最大7体である。
この超スピードについて行けない敵スタンド使いは、チャリオッツの射程内に入れば為す術もなく剣撃を食らい、チャリオッツに反撃してもそれは残像でしかなく、また加速しているポルナレフの意識は反撃された場所を超反応で避けるため、自分から攻撃を食らいに行くようなこともない。
ただこれら分身が繰り出す攻撃は、スピードが速いぶん一撃一撃の重さは軽い。このためこの技はどちらかと言うと、無数の剣撃で空間を埋め尽くして、敵の攻撃を跳ね返しつつ本体を守る防御壁としての性質が強い。
→JC14巻「マジシャンズレッド」戦
◆剣針発射◆
チャリオッツの剣の鍔の部分から、剣針をロケットのように撃ち出す技。その発射原理は甲冑を吹き飛ばすのと同じく、剣針の根元のスタンドエネルギーの凝固を解除して小さな爆発を起こすことで行われる。
この技の主な使用方法は、敵と自分との間に遮蔽物がある時に、敵に見えないように剣針を撃ち出し壁などで跳ね返して、敵の死角から首筋などの急所へ突き刺す。ただし撃ち出された剣針は自動で戻ってきたりはしないため、これで敵を仕留め損なうと素手での戦闘力がほとんどないチャリオッツは手詰まり状態に陥ってしまう。このためこの技はポルナレフにとって最後の奥の手である。
→JC21巻「アヌビス神」戦

内部リンク

『ハイエロファントグリーン』
生命の樹の図上で「戦車」の反対側に位置する「法皇」のパスのスタンド。エメラルドグリーンに淡く光る人型スタンドで、その体はほつれて触手状に変形したりできる。
『セト神』
5番目のセフィラのスタンド。他者を子供以下に若返らせ、無力化する能力を持つ。
『アヌビス神』
500年前の刀鍛冶が作り出した「妖刀」のスタンド。その刃は攻撃標的以外を透過し、また自らを手にした者に超絶的な剣技を与える。
『チャリオッツ・レクイエム』
ジョジョ5部に再登場したシルバーチャリオッツが特殊な「矢」で進化した存在。ただその能力はポルナレフには制御できず暴走してしまっている。
『バッド・カンパニー』
ジョジョ4部に登場。人形サイズの歩兵や戦車などから成る総勢70体あまりのミニチュア軍隊のスタンド。それらは本体である虹村形兆の「几帳面な精神」によって形成・制御されている。
『スケアリーモンスターズ』(フェルディナンド版)
ジョジョ7部に登場。フェルディナンドという古生物学者を本体とする、生物を「恐竜」化して使役できるスタンド。それら恐竜の単純化された本能は異常な反射神経を発揮し、至近距離から撃たれた銃弾でも体ごと避けられる。
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