暗き「影」に宿るもの

■光によって生じ、地面に自分と同じ形を作るなどする「影」は、外界を認識し始めた幼児や哲学者などにとって、非常に興味深く感じられる対象である。とはいえ影は結局のところただの物理現象でしかなく、人が影に対して抱く想いの全ては、当人の心や認識の問題でしかない。

■しかし「霊的なエネルギー」が存在するジョジョの世界では、生物が作り出す「影」には特別な力がある。かの世界の生物はスタンド能力の有無にかかわらず、その肉体から常に微弱な「霊的なエネルギー」を放射している。それは太陽や照明などの物理的な「光」に簡単に打ち消されるほど弱いものだが、「影」の中ではわずかながら力を残せる。そして影の中で物質表面に貼り付いた霊的なエネルギーは、そこに「影の主」に対する「微弱な写し身」のようなものを作り出す。

■影という写し身は通常は、単にそのような霊的現象というだけで、それ以上の意味は持たない。しかしジョジョの世界の一部の者は、この写し身を感知したり、干渉できる力を持つことがある。

■霊的な写し身である影は「影の主」とつながっており、しかしそれは影の主の制御外にある。この面で影は、堅固な要塞の誰も知らない抜け道のようなものである。そしてそれを知る者は、自分の影を自分の「急所」と認識し、また他者の影を他者への「侵入経路」と認識する。

■では以下に、「影という霊的領域」を感知・干渉できる者を列挙していく。

柱の男ワムウ

ジョジョ2部に登場する「柱の男」と呼ばれる闇の生物の一員ワムウは、「自分の影」を誰かに踏まれるとそこに向けて反射攻撃を繰り出す。無論影を踏まれたところでワムウ自身には何の危険もなく、その点ではこの行動に意味はない。しかしワムウがそのような本能を持つことには意味がある。

ワムウが自分の影への他者の接触を感知できるのは、カーズが語っているとおり「闘争の士気」によるものである。周囲の空気を自在に操る「風の流法(モード)」を持つワムウはまた、自分の周囲に闘気のような濃い霊的エネルギーをまとっている。それが彼に「影」を「自分の急所」と感知させ、そこに他者が接触すると本能的な防衛反応を起こしてしまうのである。

また余談になるが、ワムウは後のシーザー・ツェペリとの戦いで、シーザーの影を物理的に利用して勝利を収めたことも付記しておく。

セト神

ジョジョ3部に登場するこのスタンドは本体アレッシーの影と一体化している。さらにこのスタンドは自分と他者の影が重なった時に、そこから相手に侵入して「成長で得たもの」をごっそり奪い、相手を若返らせる能力を持っている。

ブラック・サバス

ジョジョ5部に登場。このスタンドは影の中でのみ存在でき、また他者の影を通して影の主から「魂」を引きずり出すことができる。

チャリオッツ・レクイエム

ジョジョ5部に登場する、「レクイエム」と呼ばれるスタンドを超えた力の1つ。

この能力は物理的な影ではなく、特殊な光で作り出される「心の影」を利用する。この能力はまず、個々の生物の精神の背後に「光球」を作り出して精神を照らし、影を生み出す。そしてこれら「精神の影」は一箇所に集積・重合することで、人の姿を持った立体化した影を作り出す。これがチャリオッツ・レクイエムの体となる。

取り立て人マリリン・マンソン

ジョジョ6部に登場するこのスタンドは、本体と金銭絡みの賭けを始めた相手の影に取り憑き、そこから相手の精神を監視する。そして相手が負けを認めるか、自分の心に恥じるイカサマをしたりすると、姿を現して相手の財貨を取り立て始める。

そしてこの時のマリリン・マンソンは影を通じて、相手が心に思い浮かべた財貨を全て読むことができる。

カリフォルニア・キング・ベッド

ジョジョ8部に登場するこのスタンドは、本体である東方大弥に相手が何がしかの罪悪感を抱くと、その相手がその時に思い浮かべていた記憶を奪える能力を持つ。しかしそうして奪った記憶は、大弥が「相手の影を踏む」と全て相手に戻ってしまう。

この弱点の理由はおそらく、大弥と相手の影がつながることにある。このスタンド能力では「大弥の霊的急所」と「相手の霊的侵入経路」がつながると、記憶はその路を通じて自動的に本来の持ち主に帰還してしまうのである。

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