深きを見抜く「予言」と「占い」

■ジョジョにはごく稀にだが、「予言」や「占い」の能力を持った者が登場する。それは「スタンド」とはまた異なる能力であり、確かな的中率でもって「未来」や「人の本質」を言い当てる。そしてこの能力の原理は、ジョジョにおいて物質世界に接して存在する「霊的世界」、その領域から情報を引き出すことにある。

■仮に「物質世界」を前後左右だけに広がり高さのない一枚の「板」とするなら、「霊的世界」はその板を浮かべる「海」のような世界である。この海の奥深くには、世界を霊的に導く「神」と呼ばれるものが存在し、それは深層から海流のようなエネルギーを起こし、物質世界にさまざまな影響を与えている。

■また人間の肉体に宿る「魂」は、物質世界から霊的世界の浅い層へとまたがって存在している。それゆえに魂は霊的世界からの影響を強く受けつつ、肉体を行動させている。

■霊的世界で起こるエネルギーの流れは、通常の人間には知覚することはできない。しかし一部の者は霊的世界を観測する手段を獲得し、また観測された霊的なエネルギーがいかなる意味を持つのかを解読できる。それらの者こそが予言や占いの能力者である。

■なお予言や占いの能力は時として、「トト神」や「ローリング・ストーンズ」のようにスタンド能力に組み込まれる場合もある。ただしこのようなスタンドの割合はかなり少ない。

■この理由は「スタンド」と「予言・占い」の能力の相性の悪さにある。スタンドとは自分の精神的な個性で世界を変えようとする力であり、対して予言や占いは世界をあるがままに観測しようとする力である。このような逆に近い性質がために、両者が両立された能力が生じる確率も低くなるわけである。(また個性が予言を阻害する都合上、このタイプのスタンド使い本体は「消極的な性格」であることが多い) 

■では以下に、作中で描かれた「予言」及び「占い」の能力と、その個別の手法について幾つか解説する。

老師トンペティの予言

ジョジョ1部に登場する波紋法の老師トンペティは「予言」の能力を持つ。それは相手の手を握り、「生命の波長」を読むことで行われる。そして彼はウィル・A・ツェペリが「どのような状況で死ぬか」を正確に言い当てている。またこの際にトンペティは、その運命が「波紋法の修業」によって引き起こされるものだとも言っている。

これにはジョジョ1部のストーリーが深く関係している。1部のラストでディオが言ったように、首だけとなったディオがジョナサンの体を手に入れることが「神の用意した運命」だとすれば、そこへと至る筋書きもまた運命づけられている。そしてその筋書きには、「ジョナサン・ジョースターに波紋法を教え導き」「全ての力を授けて死んでいく」役割の者が書かれていた。

「神の筋書き」は霊的世界で実現の時を待っており、そしてトンペティはツェペリの生命波長が波紋法の道に入ることでいずれ、上述した役割にぴったり当てはまってしまうことを感じ取った。それゆえにトンペティはツェペリに警告を与え、しかし彼の覚悟と求めに応じてさらに深く生命波長を読み、神の筋書きに書かれた「その役割の者が辿る末路」をも読み取り伝えたのである。

この原理上トンペティの能力は、神の筋書きに当てはまるほどの「強い運命」を持つ者以外では、未来を詳細に予言することはできないと考えられる。(それはさながら人の作る物語においてモブキャラの未来がどうでもいいようなものである) 

また仮にツェペリがいなかった場合には、別の波紋使いがジョナサンを導き、力を授ける役割を担っていたのだろう。

モハメド・アヴドゥルのタロット

ジョジョ3部に登場するモハメド・アヴドゥルは、スタンド使いであると同時に「タロット占い師」でもある。そのタロットは「人の本質」を知る力を備えており、作中では空条承太郎にタロットカードを1枚無造作に引かせるという手法で、彼の能力が「星」の暗示を持つスタンドであることを見抜き、「スタープラチナ」の名を与えている。(またジョセフ・ジョースターのスタンド名「ハーミットパープル」も同じ手法でアヴドゥルが与えたのかもしれない) 

アヴドゥルの能力は「魔術師」の暗示を持ち、そのタロット解釈は、雛鳥が卵の殻を破って外界に身を晒すように、新たな分野へ入ったものが自らを「開放」することである。そして彼のスタンド「マジシャンズレッド」は体外へと吐き出したスタンドエネルギーを「炎」に変える能力を持つ。

そして「霊的な炎」ともいえるアヴドゥルのスタンドエネルギーは、熱気あふれる彼の性格もあって、彼がスタンドを出していない時もごく微弱なエネルギーとして常に彼の体から放出されていると考えられる。そして彼が持ち歩くタロットはそのエネルギーを受け続けた結果、「魔術師」の解釈をなぞるかのような効果、霊的世界から物質世界へ持ち込まれた道具であるかのような効果を持つようになる。(それは聖職者が神器を聖水で清め、「神の世界からの授かり物」として用いるようなものである) 

そしてある種の神器と化した彼のタロットは、物質世界の理より霊的世界の理の影響を強く受け、物理的な確率論を超えて霊的世界の真実を示せるのである。

ただ彼のタロット占いは作中では、「未来」を占う用途では特に使用されていない。つまり彼のタロットにはその面での有用な力はない。この理由が単にアヴドゥルの力や技量の不足によるものか、あるいはスタンド能力が複雑に絡む未来を占うのは、世間の一般人の未来を占うよりはるかに難しいからなのかは不明である。

サルディニア島の占い師

ジョジョ5部においてサルディニア島の道端で露店占いをしていた男。アヴドゥルより年配に見えるこの男の占い師としての能力は非常に高い。彼の猫のような瞳は、物質に表れている霊的世界の影響を鋭く捉え、「人の本質」や「未来」などを見抜くことができる。

彼はまず、「人相」や「手相」からその人間の「本質」を見抜ける。これはおそらく、人間の「魂」がその肉体に与える影響を見ている。作中の彼はこの能力によって、二重人格を利用して少年ドッピオの姿を取っていたディアボロの、「魂の性質」と「これまでの人生」を言い当てている。

また彼は相手のもっと些末な情報、例えば相手のその時の「行動目的」なども見抜ける。そしてその際には彼は、相手の体に生じた「偶然の形」を深く見る。彼がジプシー占いを引き合いに出して語ったとおり、「偶然にできた形」は物理的な意図が無いゆえに、霊的世界の影響が素直に表れた「運命の印」となる。そして彼はドッピオ少年のズボンに付いた「泥はねの形」から、ドッピオ(ディアボロ)のその時の行動目的が「15年前に別れた娘を探しに来た」ことを言い当てている。

なお彼は占い用のテーブルに「水晶玉」と「タロットカード」を置いており、これらは作中では使われなかったが、これらも「光の反射」や「無作為に引く」偶然によって、「運命の印」を見るためのものであろう。

さらに彼の能力は、人を写した「写真」に対しても使える。ただし写真に写った人相などから能力で得られる情報はかなり少ないはずである。しかしそれでも彼は作中でリゾットの写真から、この男が復讐を胸にディアボロを追い、近く出会うであろうことを予言している。

■以上、とりあえず分かったものをひととおり。他の予言や占い(例えばポコロコが出会ったエンヤ婆に似た占い師など)についても、解き明かせたら加筆する予定。

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