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ジョジョ3部の物語構成についての雑感

      2017/06/21


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本館の雑記に書くにはそぐわない内容を含むのでこちらに書きます。
ジョジョ3部は知ってのとおり「スタンド」という新たな挑戦を始めた部であります。

スタンドは当時のジャンプ読者にとっては全く見慣れない概念で、荒木先生はこれを読者に受け入れてもらうべく、かなり腐心しながら段階的に、スタンドがいかなるものかをわかりやすく提示しているように見受けられます。(乗馬で言うなら馬が全力で走りたがっているのを騎手が抑えてる感じです)

そして3部開始時点では「タロット」のスタンドを一通り出すことは決めていて、その後は「どれだけ人気が出るか」によって幾つかの展開を考えていたんじゃないかと思います。

つまり人気が出たらエジプト上陸後に「9栄神」編に入り、そうでもなかったら「世界」のDIOと戦って終わりというわけです。そして3部は前者の道を進み、9栄神でもスタンドが足りなくなり、さらにティナー・サックスとクリームが投入されます。

この2つのスタンドは当サイトの解釈では、『生命の樹』の左右への曲がりを暗示する4つの「スート」と呼ばれるものの「カップ」と「コイン」に該当します。また3部初期に描かれた空条ホリィのスタンドもこのスートのスタンドの1つで、「ソード」に該当します。(生命の樹の左右への曲がりが具体的にどういうものかはホリィのスタンド解説の前置きをお読みください)

なお本体に制御できていない空条ホリィのスタンドは「スタンドではない」という扱いもできるので、これを3部初期に登場させて、後に残りのスートのスタンドを登場させてもさせなくても対応できるようにしたのは構成の妙ってやつだと思います。

そして4つのスートに対して作中に登場したのは3つ、つまり1つ余ります。残りの1つのスートは「ワンド」と呼ばれ、これは生命の樹が右にも左にも曲がらず「まっすぐ」な状態を表します。そして私の考えでは作中でこのワンドに相当するものは、「ジョジョ3部」という物語そのものです。

生命の樹上に配置される22のタロットと9栄神のスタンドを全て描ききり、「スタンド」という新たな概念を提示する不安定な道を選びながらも、それを読者に安定して受け入れてもらえるように描ききった、その偉大なる業績こそが生命の樹にまつわるものを描き続けてきたジョジョ3部の物語、その最後を埋めるピースなのです。

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