タワーオブグレー TOWER OF GRAY:灰の塔
Tarot-No.16

2017/06/06改訂

本体名:グレーフライ

歪んだ性格の老人

能力:人間の舌を食いちぎるクワガタ虫のスタンド

スタンド形成法射程距離パワー
能力戦闘体 数10m以上

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
  • 「塔」のパスは成長するものが、成長に成長を積み重ね高度化していく「累積」を行う。
  • タワーオブグレーは人体などにある「高度さゆえの急所」を突いて絶命させる能力を持つ。

タロット解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。

そして22枚のタロットのうち、「混乱せしもの」を暗示する「トト」のセフィラと、「卓越せしもの」を暗示する「アヌビス」のセフィラを結ぶ「塔」は、「成果と問題の累積」を暗示するカードである。

成長体が成長するためには、数多の可能性を試行錯誤し、その結果得られた有益な成果を自身に組み込んでいく必要がある。そしてこの成長は一段階で終わるものではなく、成果を組み込んだ状態からさらなる可能性を試行錯誤してその成果をまた組み込み、これを何度も繰り返していくことになる。このような「累積」を行うのが「塔」のパスである。

しかし累積による成長は同時に問題も生む。まず「積み重ねる」形での成長は、建物の増築を繰り返すかのように、既存の部分と新たな部分との間に「不整合」を生む。これは生物の肉体でも同じであり、例えば人間が抱える「腰痛」の問題は、四足歩行で進化してきた肉体構造をそのまま二足歩行に転用したがゆえである。

またあるものが累積によって周囲から「突出」して成長すれば、それは「事故の危険」という問題を生む。例えば塔のような高層建築物はその突出ゆえに倒壊の危険が増す。また人間の頭脳の処理能力を超えて突出した複雑なシステムは、原因不明のトラブルを起こす危険が増す。

これらの問題は累積の度合いが小さいうちは大した実害はないが、累積を重ねるほどに問題が頻発するようになる。その行き着く先は、問題への対処に追われて成長が完全に停滞するか、あるいは問題が原因で決定的な破滅が引き起こされるかのどちらかである。

そしてこれらの問題を解決する方法はただ一つ、問題を起こす構造やシステムを土台から見直し、大きく作り直すことだけである。その破壊と再生には大きな労力が必要となり、あるいは大きな犠牲を伴うものかもしれない。しかしそれは必要なことであり、適切なタイミングで覚悟を決めて臨むしかないものである。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。

スタンド解説

■大きく目立つ2本のツノ(大顎)を持つ「クワガタ」虫の姿をしたスタンド。その見た目は本物のクワガタ虫とあまり変わらないが、体長は20cmほどとかなり大きく、大顎の間の口には肉食動物のような尖った牙が並んでいる。またその羽根には複雑に歪んだ紋様が描かれ、それは混沌としつつも秩序的にも見える。

■本体のグレーフライは長い年月を生きる中で性格が歪み捻くれた老人であり、タワーオブグレーはその「歪みと捻れ」から生まれたスタンドである。このスタンドは彼の精神が彼の頭部内に生み出す「歪みの力場」、その口腔内のスペースで形作られ、外へと放たれる。(ちなみに本体の舌の上面にはクワガタ虫の形を押し付けたような凹みがある) 

■そして体外へと出たタワーオブグレーは、周囲の物質・生物・スタンドが大なり小なり有する「構造的な歪み」も感知できる。例えば空を飛ぶことで一日もかからずに地球の裏側まで行ける「飛行機」や、狭い土地に多くの人間を収容できる「高層ビル」は、その利便性が高いほど多くの無理を抱え、些細なミスから大惨事を起こす可能性を孕んでいる。またこれは生物の肉体でも同じであり、複雑な生物は単純な生物より多くの問題を抱えている。このスタンドはこれらを歪みとして感知できるのである。

■そして歪みの力から生まれたタワーオブグレーは、これら周囲の物体の歪みを増幅し、空間内に強い「歪みの力場」を作り出せる。この力場は周囲の物体のもともとの歪みの総量が大きいほど強くなり、「多数の乗客が乗った旅客機」などはうってつけの活動場所となる。

■また歪みの力場が強くなるほどにタワーオブグレー自体のパワーも増加する。さらに本来は数10mほどであろう射程距離も、力場が維持される範囲内に拡張される。

■ちなみにこの「歪みの力場」は、その空間内にいる生物に鈍くも強い精神負荷を与え、「気を張っている者」か、スタンドへの抵抗力を持つ「スタンド使い」以外は強い眠気に襲われる。このため作中での旅客機内の乗客は、ジョースター一行を除いて軒並み眠りに落ち、戦いの喧騒の中でも目を覚ますことはなかった。

■歪みの力場の中でタワーオブグレーは、防御と攻撃のそれぞれで特徴的な性質を発揮できる。まず防御面においてこのスタンドは、異常な速さでの回避飛行を可能としている。そのスピードはスタープラチナの両手での連打を楽々とかわし切るほどである。

■このスピードは本体グレーフライの思考速度や反射神経によるものではなく、歪みの力場を利用したものである。タワーオブグレーの胴体と羽は歪みの力場の中で、歪みが弱い場所へと自動的に引き寄せられ、また強い歪みを自動で回避する性質を備えている。そして歪みの力場の中で銃弾が発射されたり、スタンドの拳が繰り出されたりすれば、それは水面に立つ波紋のように、力場の中に強い歪みを生む。この結果タワーオブグレーはそれらの動きがどれだけ速かろうと、それらを自動的に回避できる。このため敵スタンドは、単純な手法ではこのスタンドに攻撃を当てることは決してできない。

■またタワーオブグレーは作中でこの回避飛行以外でも、数m離れた場所へと目にも留まらぬ速さで移動している。これはおそらく周囲にある物質・生物・スタンドのうち、どの「歪みの力場」により強く感応するかを選択することで、選択対象の歪みが弱い場所へと瞬時に移動したものと推測される。

■次に攻撃面においてこのスタンドは、対象の構造的・システム的な「急所」を感知し、それを突くことができる。この急所攻撃には、タワーオブグレーの口内から伸び出る「タワーニードル(塔針)」と呼ばれる器官が使用される。これは直径1cmほどの棒状の器官で、小石大の不揃いな塊がまっすぐ繋がった形状をしており、先端の塊は割れ開き、尖った針が突き出ている。

■タワーオブグレーのスタンド体はおそらく、前方に向かうほど歪みの力が強くなり、その結果前方でスタンド体が歪みに耐えきれずに真っ二つに裂け、その姿で安定し、これがこの虫型スタンドの大顎になっていると考えられる。そして大顎の間を伸び出るタワーニードルは、スタンド体よりさらに強い歪みの力を数秒の短時間だけ力任せに生み出し、維持することで形作られている。この絶大な歪みの力ゆえにタワーニードルは、他の物体の急所に電磁石のように強力に引き寄せられ、高速でまっすぐ伸び、刺し貫くのである。(なおスタンドエネルギーを一時的に固めて作られるタワーニードルは使い捨ての器官であり、これが破壊されても本体へのダメージはない) 

■タワーオブグレーが「人間」または「人型スタンド」を攻撃する際には、タワーニードルはその「舌」を強力に指し示し、刺し貫こうとする。人体に数ある急所の中でなぜ舌が選ばれるのかは不明だが、理由として考えられるのは、人体では心臓や肺のある胴体より頭部のほうが歪みの力場が強いこと、視覚のある眼窩は口内を狙うより反射的に避けられる可能性が高いこと、タワーオブグレー自身の発生箇所が本体の口腔内であることなど、これらの理由の複合と推測される。(また人体の複数の急所に同時に引き寄せられるとタワーニードルの勢いが鈍ってしまうため、どこであれ急所の一つを選んで集中したほうが好ましいという理由もある) そして首尾よく舌を貫くとタワーオブグレーは、そのまま振り回して舌を引きちぎるか、あるいは自身も口内に突入して大顎で舌の根元から切り取るかして、相手を絶命させる。

■逆にもしこのスタンドが攻撃を受けて破壊されれば、そのダメージは呪詛返しのように強大な歪みの力となって本体の「頭部」に伝わり、その舌と額が真っ二つに裂けて絶命することになる。

■またこのスタンドによる急所攻撃は、「乗り物」や「建造物」に対しても生物同様に行える。例えば「飛行機」が攻撃対象であれば、タワーオブグレーはその「パイロット」と「自動操縦装置」に引き寄せられてそれらを破壊し、墜落事故を引き起こせる。

■本体のグレーフライはアヴドゥルが語っていたとおり、事故に見せかけてビル火災・飛行機事故・その他諸々を起こし、火事場泥棒を行う極悪人である。だがその裏にはおそらく、この男なりの歪んだ正義がある。

■歪みを感知することに長けたグレーフライは、自分の中と同様この「世界」にも、延々と解消されることのない歪み、人道的な理由や人の心の弱さゆえに解消に踏み切れない歪みが数多く存在すること、そしてそれゆえに世界が停滞していることを感じ取っている。そして彼は自分と世界とを呪い、テロリストのように世界の秩序への破壊工作を行いながら生きてきた。

■そんな彼にとって「DIO」という男は、世界を支配できるほどの絶大な能力を秘め、人を超えた理のもとに世界を破壊の後に再生すると確信できる救世主であった。ゆえに彼はDIOが使う洗脳装置である「肉の芽」を埋め込まれていないにも関わらず、命を賭けてジョースター一行と戦ったのである。

内部リンク

『ザ・ワールド』
グレーフライが崇拝した男DIOのスタンド。DIOの思想は「人の世の正義」から見れば邪悪なものであるが、より大いなる「神の正義」から見れば必ずしも間違ってはいない。
『トト神』
7番目のセフィラのスタンド。近い未来に起こることをマンガの形で予知できる。
『アヌビス神』
8番目のセフィラのスタンド。本体を持たない「妖刀」のスタンド。
『「3対2」が無いスタンドバトルの世界』
「超能力」であるスタンド能力は物質世界に大きな歪みを生み、3対2以上のスタンド使いの戦いは物質世界の許容限界を越えてしまう。ゆえに世界は運命を操作して、そのような戦いが起こらないよう調整しているという説明。
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