「黄金の風」の日数経過

■ギャング・スターに憧れる少年ジョルノ・ジョバァーナが、麻薬密売を行うギャング組織のボスを倒すまでを描いたジョジョの奇妙な冒険第5部「黄金の風」は、1話から最終話までの経過日数が非常に短いことが知られている。

■1部〜4部、6部〜8部はどの部も「数ヶ月」かそれ以上の期間が経過している。対して5部は、話数は他の部と大差ないにもかかわらず、ほんの「一週間余り」しか経過していない。そしてこの間ジョルノとジョルノが属するブチャラティチームは、過密なペースで戦い続け、またイタリアの各地を移動し続ける。

■この一週間余りでの各日の出来事を、話数で区切ると以下のとおりになる。

  • 1日目(1話〜16話):ジョルノ登場からブラック・サバスを倒すまで。
  • 2日目(16話〜17話):ジョルノがポルポの試験を終えてからブチャラティチームのメンバーに紹介されるまで。
  • 3日目(18話〜30話):ポルポ死亡からブチャラティがトリッシュの護衛を引き受けるまで。
  • 4日目(31話〜68話):ナランチャVSホルマジオからアバッキオがペリーコロの最期をリプレイするまで。
  • 5日目(69話〜101話):ミスタ&ジョルノVSギアッチョからサルディニア沖での飛行機の墜落まで。
  • 8日目(102話〜132話):ドッピオ登場からチャリオッツ・レクイエム発動まで。
  • 9日目(133話〜155話):チャリオッツ・レクイエムが引き起こす混乱からディアボロが倒されるまで。

■ただ作中では、時間経過を示す情報はかなりまとまりなく散らばっており、それらを正しく拾い上げなければ時間経過を正しく把握できない。また作中には少しばかり時間経過が曖昧な場面もあり、そこは解釈次第で日数が変わる可能性がある。

■以上を踏まえてここからは、上記の日数経過の根拠となる情報や、ブチャラティチームの移動に関わる出来事を列挙していく。


1話(1日目日中)【黄金体験 その1】

2001年が3ヶ月過ぎた頃、広瀬康一が春休みを利用したヨーロッパ旅行でイタリアのネアポリス空港に降り、ジョルノに出会う。

5部の開始日となるこの日の正確な日付は不明である。ただ133話のところで後述するが、5部の最後の日は「4月6日」である。つまり最後の日を「9日目」とするなら、1日目は「3月29日」となる。

また空港の発着予定表に「13」の字が読み取れることから、康一が空港に降りた時刻は13時より前であろう。

3話(1日目日中)【黄金体験 その3】

康一が空港からジョルノの住む街に向かい、再びジョルノに会う。「(ジョルノに金品を盗まれたままでは)今夜ホテルに泊まれない」という康一のセリフから、日付は変わっていないはずである。

4話(1日目日中)【ブチャラティが来る その1】

ジョルノに再度逃げられた直後の康一が承太郎に電話をかけるシーンから、ジョルノとブローノ・ブチャラティが出会うシーンへ。シーンのつながりから見て日付は変わっていないはずである。

9話(1日目午後)【塀の中のギャングに会え その1】

ジョルノがブチャラティの推薦でギャング組織パッショーネの幹部ポルポと面会する。冒頭のジョルノとブチャラティの会話シーンは、8話まで行われていたジョルノとブチャラティの戦いの直後のようにも、戦いの翌日のようにも見える。

1日経った確証がないためここでは直後としておくが、ここで1日経ったと考えるなら以降の経過日数は全てプラス1されることになる。

10話(1日目午後)【塀の中のギャングに会え その2】

ポルポの住む独房内の鳩時計が15時になった音を鳴らす。

11話(1日目夕方)【ギャング入門 その1】

ジョルノが学生寮に帰宅。部屋の時計は16時10分を指している。そして直後に康一がパスポートを取り戻すため忍び込んでくる。この康一の行動は、9話目で日数経過がないと考えるなら盗まれた当日、1日経ったと考えるなら翌日の行動ということになる。


16話(2日目午後〜3日目午前)【ギャング入門 その6】

翌日15時、ジョルノが再びポルポと面会。そしてさらに翌日、ポルポはジョルノが仕掛けた罠にかかり命を落とす。その時刻は9時25分であると30話で示されている。(この16話時点では「昼食時」とされているが後に出た情報のほうが正しいはずである) 

17話(2日目午後あるいは3日目午前)【5プラス1】

ブチャラティチームの面々とジョルノが初顔合わせ。なお本記事冒頭ではこの日をポルポの試験を終えた直後の2日目としたが、実のところ3日目の午前の可能性もある。ただ2日目でも3日目でも全体の日数経過には全く影響はない。


18話(3日目午前)【ポルポの遺産を狙え!】

ポルポの死の報を受けてブチャラティチームが、ポルポの隠し財産を回収するためヨットクルーザーでカプリ島に向かう。(時間帯を午前とした理由は24話のところで説明する) 直後彼らは、隠し財産を横取りしようと船内に忍び込んでいた敵スタンド使い、ズッケェロに攻撃される。

24話(3日目午後)【セックス・ピストルズ登場 その2】

ズッケェロの相棒である敵スタンド使いサーレーを倒すため、ジョルノとミスタがヨットに先んじてカプリ島に上陸。ミスタが「もうとっくにお昼の時間を過ぎてる」と言って、自分のスタンドに昼食を与える。(どうやらズッケェロ襲撃のゴタゴタで船上では昼食を取れなかったらしく、つまり18話時点では午前だったということになる) 

29話(3日目午後)【6億円の隠し場所】

カプリ島で遺産の回収に成功。その場でブチャラティは組織の幹部ペリーコロからボスの娘トリッシュを引き渡され、彼女の護衛を開始する。

なおこの話中でペリーコロはトリッシュの保護を「2日前」と言っている。つまりこの出来事は1日目であり、5部開始の日に起きたことになる。


31話(4日目日中)【ナランチャのエアロスミス その1】

隠れ家から買い出しに出かけたナランチャがトリッシュを狙う暗殺チームの一員、ホルマジオに襲われる。「昨日ポルポが死んだ」というホルマジオのセリフから、日付が変わったことが分かる。

39話(4日目日中)【ボスからの第二指令;「鍵をゲットせよ!」】

隠れ家のブチャラティにボスから電子メールで指令が届き、フーゴ、アバッキオ、ジョルノがポンペイ遺跡へと「鍵」を取りに行く。隠れ家からポンペイまでは35km足らずで、車なら片道30分ほど。

40話(4日目日中)【マン・イン・ザ・ミラーとパープル・ヘイズ その1】

ポンペイで暗殺チームの一員、イルーゾォがフーゴを攻撃。このときのフーゴの腕時計は15時40分を指している。そして戦いは46話目で終わり、そのときフーゴの腕時計が指していたのは15時45分である。

47話(4日目夕方)【フィレンツェ行き超特急 その1】

ブチャラティチームがボスの指令に従い、ネアポリス駅からヴェネツィアを目指し、16時35分発のフィレンツェ行きの特別急行に乗る。そしてこの列車には暗殺チームの二人、プロシュートとペッシも乗り込む。

ちなみにネアポリス(ナポリ)からヴェネツィアまでの鉄道での走行距離は約730kmである。そしてこの間の主要駅であるネアポリス、ローマ、フィレンツェ、ヴェネツィアは、イタリアの地図上では南から北へと弧を描いて、だいたい等間隔に並んでいる。

49話(4日目夕方)【偉大なる死 その1】

「亀の部屋」内の置き時計が16時50分を指している。

58話(4日目夕方)【偉大なる死 その10】

列車の乗客のデジタル腕時計が午後5時(17時)21分を指している。この直後に列車はペッシの手で急停止する。

ちなみに49話目の扉絵では、この特急はネアポリスからローマまでを時速150kmで1時間半かけて走行すると解説されている。またネアポリスからローマまでの鉄道での移動距離は約220kmである。そして17時21分は特急の発車から46分後、1時間半のほぼ半分である。つまり停車地点はネアポリスとローマのだいたい中間、ローマの駅まであと100km以上の場所ということになる。

61話(4日目夕方)【ベイビィ・フェイス その1】

停車した列車のもとに暗殺チームの一員、メローネがバイクで到着。現時刻を「午後6時(18時)34分」と言っている。……のだが、このセリフはおそらく「5」と「6」の誤植であり、実際は午後5時(17時)34分である。この時刻であれば、ここでメローネが語った「停車から約20分遅れ」というセリフとも、63話目のところの時刻ともそれなりに辻褄が合う。

列車の停止が21〜22分辺りとすると、34分を「約20分遅れ」と言うのはおかしいのだが、この理由はたぶん58話でのデジタル腕時計が「上下逆」に描かれていたためのミスである。つまりデジタル表記された「21」は上下逆だと「12」に見えてしまうのである。

一方17時20何分かに列車をあとにしたブチャラティチーム側は、ローマに向かって北上中。

63話(4日目夕方)【ベイビィ・フェイス その3】

ローマ市内から南東12kmにある駐車場で、トリッシュとブチャラティがメローネの遠隔自動操縦型スタンド「ベイビィ・フェイス」に襲われる。このときの「亀の部屋」内の置き時計は18時38分を指している。

ちなみにベイビィ・フェイスは、特急の停車地点からバイクに乗って駐車場まで来ている。その位置関係は64話冒頭の地図に描かれており、両地点間の距離は大ざっぱに50〜60kmである。メローネが停車地点に到着してからの各種行動や、バイクでの移動速度を考えれば、61話冒頭からここまで1時間ちょっと経過しているのは妥当であろう。

68話(4日目夕方〜深夜)【ヴェネツィアに向かえ!】

ブチャラティチームが車を盗んで駐車場を去る。その後暗殺チームの一員ギアッチョがオープンカーで駐車場に到着。ダッシュボード内のアナログ時計は19時45分を指している。……のだがこの数字は明らかに誤りである。

18時40分辺りに始まったジョルノとベイビィ・フェイスの戦いは数分で決着しており、戦いの最後で爆発したバイクはギアッチョ到着時にはまだ燃えていた。ブチャラティチームが去ったのとギアッチョの到着はメローネのセリフどおり「一足違い」であり、つまりこのときの実際の時刻は18時45分である。時刻を1時間誤った理由は不明だが、単純に短針の位置を描き間違えただけかもしれない。

ともあれブチャラティチームはその後4〜5時間車を走らせ、ヴェネツィアまで1〜2時間の辺りまで到達する。(このときのミスタの腕時計は0時2〜3分あたりを指している) 


69話(5日目明け方)【ヴェネツィア・サンタ・ルチア駅『OA-DISC』をゲットせよ!】

翌朝4時43分(日の出まで約30分の時刻)、ジョルノとミスタが乗った車はヴェネツィア本島に車で渡る橋、リベルタ橋を走行中。直後2人はギアッチョに襲われる。

76話(5日目夜明け)【ホワイト・アルバム その7】

日の出と時を同じくしてギアッチョを撃破。2人はボスから指令されていたOA-DISCのゲットに成功し、その直後に別動していたブチャラティたちと合流する。

77話(5日目朝)【ボスよりの最終指令】

OA-DISC内の指令に従い、ブチャラティチームはトリッシュをボスに引き渡す最後の任務のため、ヴェネツィア本島の一角にあるサン・ジョルジョ・マジョーレ島へ到着する。またDISCには、「島への上陸はDISCゲットから15分以内」と指示されており、69話目の4時43分から計算すれば上陸時間は5時半前後となる。

またここではフーゴが「2日間の任務」と言っている。カプリ島でトリッシュを引き渡されたのが3日目の午後、現時点が5日目の朝なので計算は合っている。

85話(5日目午前)【ガッツの「G」】

トリッシュの命を守るため組織の裏切り者となったブチャラティチームは、ボスの正体を掴むためサルディニア島に向かうことを決める。

94話(5日目午前)【ノトーリアス・B・I・G その1】

ブチャラティチームがヴェネツィアのマルコ・ポーロ空港から、個人用ジェットに乗ってサルディニア島へと出発。ブチャラティによると2時間弱で到着の予定。なおマルコ・ポーロ空港からサルディニア島のオルビア空港までの直線距離は約560kmである。

99話(5日目午前)【ノトーリアス・B・I・G その6】

飛行機内の置き時計が10時16分を指している。

101話(5日目午前)【スパイス・ガール その2】

飛行機がサルディニア島沖約50kmで墜落。ブチャラティチームは脱出。またヴェネツィアで墜落のニュースを知ったボスは、アバッキオのスタンドに自分の正体がリプレイされるのを阻止するため、自らサルディニア島に行くことを決意する。

なおこの話中では、アバッキオが「飛行機の墜落でボスは自分たちの行方を見失い、自分たちには時間ができた」と言っている。またボスは「(自分をリプレイする場所の鍵となる)写真のことを、トリッシュは今は気付いてないかもしれないがいずれ必ず思い出す」と言っている。この2つのセリフは、物語が次のステップに進むまで何日か間が空くことを示している。


104話(8日目日中)【ぼくの名はドッピオ その2】

サルディニア島の「カーラ・ディ・ヴォルペ」にブチャラティチーム、ドッピオ(ボスのもう1つの人格)、暗殺チーム最後の一人リゾットが集結。飛行機墜落の5日目から3日経過して8日目になっている理由は、118話のところで説明する。

112話(8日目日中)【プロント!通話中 その1】

ボスに始末されたアバッキオが残した手がかりを駆使した結果、ブチャラティチームは「ボスを倒せる可能性」を得るため、ローマのコロッセオにいる男に会いに行くことを決め、モーターボートでサルディニア島を後にする。なおカーラ・ディ・ヴォルペからローマ付近の海岸までは、ティレニア海上を直線距離で200km以上である。

113話(8日目夜中)【プロント!通話中 その2】

ブチャラティチームが夜中にローマ近くの漁村に上陸。(ボートはサルディニア島を後にした時のものと同じ) 4月上旬のローマの日没時刻と空の暗さから考えて、時刻はおそらく20時以降。またブチャラティによると、この漁村はローマ市内まで車で45分の距離である。

118話(8日目夜中)【『グリーン・デイ』と『オアシス』 その4】

ブチャラティチームが車で漁村を後にする。またこの話中では敵のセッコが、「ボスが3日前飛行機にノトーリアス・B・I・Gを送り込んだ」と言っている。飛行機がヴェネツィアから飛び立ったのが5日目なので、セッコのセリフを信じる限りこの時点では8日目となる。

129話(8日目夜中)【そいつの名はディアボロ その1】

ブチャラティがドッピオの喉にある(リゾット戦での)傷を見て「ヒゲ剃り等で付いた今朝か昨晩のキズ」と推測している。実際にはこのキズは日中のものなので少し誤差があるが、これはスタンド使いの自然治癒力が一般人より高く、そしてブチャラティはドッピオを一般人だと誤認していたためである。

130話(8日目夜中)【ほんの少し昔の物語】

ブチャラティがポルナレフとの会話で「トリッシュと初めて関わったのは4日ほど前」と言っている。しかしトリッシュの護衛開始が3日目の午後、現時点が8日目の夜中なので丸5日経っているはずである。

護衛開始から飛行機墜落まで2日弱経過しているのは疑う余地がない。とすると後は、墜落から3日経っているとする118話目のセッコの発言と、ここでのブチャラティの発言どちらを信じるかである。これは難しい選択だが、セッコが「3日前」と2回断言しているのに対してブチャラティは「4日ほど前」と少しぼかした言い方であるため、ここではセッコを信じることにする。

逆にブチャラティを信じるならこの日は墜落から2日後であり、7日目ということになる。

132話(8日目夜中)【「矢」のさらに先に存在(ある)もの】

ローマのコロッセオで発動したチャリオッツ・レクエイムの能力により、ブチャラティチームもボスも全員眠ってしまう。


133話(9日目朝)【鎮魂歌は静かに奏でられる その1】

夜が明けて全員目を覚ます。ジョルノの腕時計(ブルガリ製らしい)が指している時間は5時39分で、「6〜7時間眠っていた」とジョルノ(中身はナランチャ)が言っている。またこのアナログ腕時計は文字盤に空けられた窓に「6」の数字が表示されている。これは「日付」であり、つまりこの日は「4月6日」となる。

149話(9日目朝)【ゴールド・E・レクイエム その3】

ジョルノが発動したゴールド・E・レクイエムの能力により、ボスが倒される。そしてボスは時間と空間を超越してあちこちに飛ばされ、無限に死を繰り返す状態となる。

なおこの話中でボスは、ティベレ河排水口にいた浮浪者に刺されて死んだ後に、死体置場でモニカ・ユルテッロという女医に検死解剖されるのだが、その際に彼女は「本日は25日の午前11時20分」で「死体は死後48時間から54時間」であると述べている。この情報をそのまま受け取ればボスが倒された9日目は「23日」となるが、これは1話1日目の康一の春休み期間とも、133話9日目のジョルノの時計の日付とも大きくかけ離れている。おそらくこの時点ですでに、無限に死を繰り返すことによる時空の歪みは始まっていたのだろう。

151話(1日目日中)【ゴールド・E・レクイエム その4】

エピローグ「眠れる奴隷」開始。場面が1日目に戻り、ジョルに出会う直前のブチャラティやミスタの行動が描かれる。

155話(9日目朝)【眠れる奴隷 その5】

場面が現在に戻り、5部完結。ラストに描かれたジョルノのボス就任が、さらに何日後あるいは何ヶ月後の出来事かは不明である。


■最後に、このように5部が非常に短い日数で怒涛のように進んだことには必然性がある。それについてはまた別の機会に語ることにする。

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