グリーン・デイ GREEN DAY

2017/01/15公開

本体名:チョコラータ <Cioccolata:チョコレート>

猟奇的な元医者、プロフィールJC59巻P173〜

能力:肉体を崩壊させるスタンドのカビをばら撒き、広範囲に増殖させていく

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
グリーン・デイ 身体・能力加形体 2m
カビ 能力顕現体 数km以上 寄生パワー供給

当ページの要点

  • ジョジョ5部に登場するスタンドのうち「ポルポの矢」で生まれたものは、3部のスタンドと同じく「タロット」に対応している。
  • ただしそれらタロットは通常の解釈ではなく、より邪悪な解釈を与えられている。
  • グリーン・デイが対応するタロットは「月」であり、その暗示は「悪脱出」である。
  • グリーン・デイのカビは生物を殺してはその周囲に飛散して別の生物に取り付き、被害範囲を拡大していく。

邪悪の樹

宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである『生命の樹』。ジョジョ3部のスタンドに深く関係するこの生命の樹には、「邪悪の樹」と呼ばれる上下逆さまに描かれた亜種が存在する。邪悪の樹とは、例えば社会の中で反社会的な組織が成長していくように、成長するものの一部が全体に反した成長を行うさまを表したものである。

「クリフォトの樹」とも呼ばれる邪悪の樹は、「邪な状態」を表す10個の円形「クリファ」と、それを結び「悪しき変化」を表す22本の小径「パス」から成る。そのパスに対応する22枚の「タロットカード」のうち、「邪に混乱せしもの」を暗示するクリファと、「邪に遊離せしもの」を暗示するクリファを結ぶ「月」は、「構成要素の悪脱出」を暗示する。

反社会的組織が邪悪な成長として行う「悪脱出」は、一つの土地で充分な規模まで成長した組織が、別の土地の社会に「支部」などを作るために、自分の一部を切り離すことで行われる。これによって組織は勢力のさらなる拡大を目指せる。またそうして他所に拠点を作ることは、仮に今いる社会という「宿主」が衰退したり、組織を追い出した時に、他所で組織を存続できるという保険にもなる。

そしてこの時の組織が社会に期待することが1つある。それは、社会の集まりである世界が自分たちに「隙」を見せることである。反社会的組織の別の土地への進出は、例えるなら世界に病原体が広まっていくようなものである。そしてここで世界が中途半端な対処しか講じないなら、それは組織という病原体が世界に蔓延する絶好の機会となる。またそのためには組織の側も、世界にとって対処が難しい狡猾な手段で広まっていくことが重要となる。

そしてもし、こうして邪悪が世界全体に広まり、当たり前に存在するようになれば、それは世界がその存在を許容したということに等しく、それだけ世界が「堕落」したということを意味する。

それゆえに社会は、世界に大きな被害や堕落をもたらす「絶対の邪悪」に対しては、輸出入における検疫のように過剰すぎるくらいに防衛し、ウイルスに感染した家畜の飼育場を丸ごと処分するように過剰すぎるくらいに攻撃しなくてはならない(ただしその際には「根絶すべき邪悪」だけを正しく見極め、罪なきものの自由な活動を侵害しない判断力も必要である)。そしてその心が世界の中で保たれるならば、世界は邪悪に道を踏み外すことなく、正しい道を成長していけるだろう。

スタンド解説

体内で「スタンドのカビ」を生成し、体外に噴出する能力を持つ人型スタンド。その噴出器官は頭部の上方や背中の上方にフジツボのような形状のものが並び、また手の指先にも穴が空いて噴出孔になっている。またそのスタンド体は頭頂部から腹にかけてが柱サボテンのような外観になっており、その部分の黒い体表には白い縦筋が等間隔に走っている。そしてスタンドの周囲に撒き散らされるカビは、生物の肉体を腐り落ちる食物のように崩壊させる能力を持っている。

本体のチョコラータは元医者であり、しかしその医療行為は患者の治療が目的ではなく、患者を医療に見せかけて苦しめ、痛みとともに死にゆくさまを観察するためのものであった。彼は他人の肉体を好奇心でおもちゃのように弄び、その行いを優れた人間のみに可能な知的遊戯だと考えている。そしてこのような罪悪感の欠片もない邪悪さが、彼のスタンド能力の源になっている。

グリーン・デイのサボテンのような体幹部はおそらく、チョコラータの邪悪な好奇心を滋養にしてスタンドカビを大量に培養するための器官である。そしてそのカビは体表に備わった噴出器官からキノコの胞子か火山灰のように噴出され、周囲数10mに漂い広まっていく(カビは噴出孔近くの濃密さであればスタンド使いの目で見えるが、広範囲に漂い希薄になれば見えなくなってしまう)。

ばらまかれたカビは好奇心の習性に従い、空気中を漂って生物に貼りつくと、その内部を目指そうとする。しかしカビのパワーは低すぎるため、そのままでは生物の肉体を侵食することはできない。そこでカビは取り付いた生物がある動作を起こすのを待つ。それは重力に対して「下」へと向かう動作である。

ジョジョの世界の生物は、スタンド使いや一般人、または動物や植物を問わず、「霊的な抵抗力」を備えている。この抵抗力は、生物が「目を覚まして」いて自分の体に意識を行き渡らせている間は、全身に働いている。そしてグリーン・デイのカビはこの状態の肉体には侵食できない。しかし生物が重力に従う「下」方向に体を動かす時、その肉体は少なからず重力に身を委ね、その精神は無意識的に少し「弛緩」する。そしてカビは生物がわずかな「隙」を見せたこの瞬間だけ、その肉体を侵食することが可能となる(ちなみに生物が眠って「弛緩」状態にあれば、下に移動しなくても問答無用でカビに覆われていく)。

ミクロサイズかつ単純な構造を持つカビは、非常に速い活動サイクルでもって、生物が「下」に向かう短い動作の間に一気に増殖する。見えないほど少量のカビはまず、霊的な抵抗力に隙を見せた肉体をミクロサイズで崩し、動物が咀嚼した食物からエネルギーを吸収するように、崩れた肉からエネルギーを得る。そのエネルギーによってカビは増え、そのカビがまた肉体を崩し、この繰り返しでカビは物量的な侵食力を増しながら、1秒足らずで肉体から大きく溢れ出すほどに増殖する。そしてその過程でカビは生物の肉体内に細かく深く入り込み、筋肉から骨に至るまで、その強度を大きく低下させる。

カビが根を張り強度の落ちた肉体は負荷がかかると簡単に崩れ、その生物が立っていれば体重を支えている脚から崩れる。そして崩れ落ちる肉体内でさらに増殖したカビは、倒壊の勢いで起こる空気の動きなどによって、再び周囲数10mに撒き散らされる。そのカビはまた別の生物へと取り付き崩壊させ、この繰り返しでカビは被害者を増やしながら、被害範囲をどんどん拡大していく。

その射程距離は作中ではチョコラータが倒されるまでに半径200〜300mまで広がったが、限界射程はもっと広い。カビ自体のパワーは低いこと、腐らせた生物からエネルギーを得られること、その増殖力の根源がチョコラータの際限のない邪悪な好奇心であることから考えて、おそらく射程距離は数kmをゆうに超え、能力が解除されなければ人口100万の大都市でも壊滅できると思われる。

ちなみに邪悪かつ強大なこの能力は、作中では夜間に使用されており、もしかするとそのカビは「ブラック・サバス」のように太陽光を弱点とする可能性もある。

被害者の肉体において、崩壊させられた部位はカビに覆われてほとんど出血することはなく、また痛覚なども崩壊の影響で機能しなくなっている。このようにグリーン・デイのカビは被害者に「痛み」を与えることはないが、代わりに被害者は痛みに苛まれない精神で、崩れながらゆっくりと死んでいく自分の肉体を見ることになる。それが誘発する恐怖心は、そのさまを観察するチョコラータにとって充分満足のいくものである。

前述したとおりカビが増殖するきっかけは、生物が「下」方向に体を動かすことであり、これはスタンド使いでも一般人でも植物でも変わらない。ただその抵抗力はスタンド使いが最も高く、植物が最も低い。例えば植物は数cm位置が下がっただけでもカビが一気に増殖し、太い木の枝でも簡単に崩れてしまう。

一方スタンド使いはカビが蔓延する空間内でもそれなりに活動できる。作中での描写を見ていくと、スタンド使いが手をすねの辺りに下ろすだけでもカビは目に見えるほど増殖し、皮膚に細かい裂傷を多数作るが、指が崩れ落ちたりするには程遠い。またスタンド使いが全力で走って重心を激しく上下させても、動作に支障をきたすほどの崩壊は起こらない。スタンド使いの肉体に決定的な崩壊が起こる目安は大ざっぱに、体全体が1mを超えて下に移動した場合である。そうなればスタンド使いであろうと、もがくほどに手足が崩れていき、自力で助かるすべはない。

なお、スタンド使いが操るスタンド体には、(「肉」と融合でもしていない限り)カビは生えない。このため敵スタンドはカビを恐れることなく上下移動してチョコラータと戦える。ただし人型スタンドなどでは、本体がカビに襲われて崩れたり強度が落ちたりしていれば、当然スタンド側にも同じ影響が出る。またチョコラータの数m以内ではカビの密度がかなり高く、その範囲内ではスタンド使いの肉体は細かい上下動だけでも着実に崩壊していく。そしてその状態でその者のスタンドがグリーン・デイと戦えば、スタンドを通じて伝わる負荷で骨が砕け、血管や筋繊維が断裂していく。

生きるものすべてを崩壊させるグリーン・デイのカビは、本体チョコラータの肉体にだけは協力的に働く性質を持っている。そしてチョコラータはこれを利用して、自分の肉体を無理やり「切り離し」、複数部位に分けてそれぞれを別個に活動させるという行為を可能としている。

まずチョコラータはメスなどを使って、人体のうち切断しても比較的問題ない場所を選んで自分の腕や下半身などを切り離す(これには彼が過去に患者に行った数多の人体実験が寄与している)。またこの切断には、チョコラータの肉体と重なっているグリーン・デイも利用され、体内から湧き出すカビで骨と肉のジョイント部分などを最小限に崩壊させて切り離したりする。そしてその切断面は即座にカビで覆われて保護される。

このおぞましい方法によってチョコラータは、例えば頭部・胸部・片腕だけを残した小さな体で狭いところに潜んだり、切り離した手足を敵の死角に回り込ませて攻撃したりできる。そして事が終わって体をもとどおりに組み立てた際には、切断面のカビは肉体を簡易的に「接合」もできるようである。とはいえこの肉体分割がかなりのダメージを残すことに変わりはなく、チョコラータはこの戦法をよほど追いつめられた状況でないと使用しない。

またグリーン・デイのカビは、チョコラータがメスやハサミを手にした時に、その表面に薄くまとわりつき、それらをスタンド相手にダメージを与えられる武器に変えることもできる(それがチョコラータの意志によるものか、「人を解体する」道具に対してカビの本能が自動的に見せる反応かは不明である)。

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『ダークブルームーン』
ジョジョ3部に登場する、「生命の樹」側の「月」のタロットのスタンド。水中から陸上に抜け出た両生類のような特徴を持つ人型スタンドで、水中戦を得意とする。