バッド・カンパニー BAD COMPANY:極悪中隊

2023/02/09改訂

本体名:虹村形兆 <ニジムラ・ケイチョウ>

虹村億泰の兄

能力:小人サイズの兵士・戦車・戦闘ヘリから成るミニチュア軍隊のスタンド

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
能力戦闘体 10m以下
(本文参照)
半操作分離

当ページの要点

  • 虹村形兆・億泰兄弟はともに、「空間」に関係したスタンド能力を持っている。
  • 虹村形兆のバッド・カンパニーは、形兆の脳内空間に整然と配置させたミニチュア軍隊を、そのまま現実空間に出現させることができる。
  • そして形兆は周囲の地形や敵の配置に対応しながら、ミニチュア軍隊をチェス駒のように進めて戦う。

スタンド解説

バッド・カンパニーは、ジョジョの奇妙な冒険第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物、虹村形兆のスタンドである。

虹村形兆

このスタンドは「ミニチュアの軍隊」の姿を持つ。その軍隊の編成は、「M16自動小銃」を持った身長10cmほどの歩兵が60体、歩兵にスケールを合わせた全長50cmほどの戦車が7台、全長1m弱の戦闘ヘリ「アパッチ」が4機、さらに隠密任務用のグリーンベレーが1体いる(作中で登場したのは以上だが、他にまだ特殊人員等がいる可能性もある)。

形兆とバッド・カンパニー

それらスタンドの姿は、戦車・戦闘ヘリはもとより歩兵の衣服や細かな装備品に至るまで、現実の物とそっくりに形作られている。ただ兵士の肉体だけはスタンド的なデザインをしており、そのロボットのような顔には丸い両目と三角の穴が空いた鼻と、常に半開きの四角い口がある。

スタンド歩兵

そしてこれら「バッド・カンパニー(極悪中隊)」は、虹村形兆を指揮官として戦闘を行う。


虹村兄弟(とその父親)は、「思考」に関係する肉体的・霊的な遺伝によるものなのか、普通の人間より物事を「考えすぎる」気質を持つ。さらに自分の思考の「型」に周りの物事を従わせようとする性格を持っている。この精神性は彼らの能力にも大きな影響を与え、彼らのスタンドは共通して「自身の思考空間を現実世界に出現させる」能力となっている。

そして形兆は、まるで脳内にチェス盤と駒の配置を思い浮かべるかのように、自分の脳内空間に軍隊を構築・布陣し、それをそのまま現実世界にスタンドとして出現させることができる。

バッド・カンパニーはチェス駒に相当する「軍隊型スタンド」と、チェス盤に相当する「戦術空間」とが一体になったスタンドである。戦術空間は不可視のスタンドエネルギーから成り、形兆の周囲の空間に展開される。そしてこの戦術空間には2つの役割がある。

1つは空間内の座標を正確に規定することである。戦術空間はその内部の3次元空間を、チェス盤のマス目を3次元的にしたかのように細かく区切る。この不可視の座標は、現実空間の物体には何の影響も与えないが、バッド・カンパニーのスタンド体にとっては、それこそが彼らの立脚する空間となる。それはチェス駒がチェス盤のマス目に従って存在するのと同じことである。

戦術空間のもう1つの役割は、周囲の空間の3次元的な「地図」を得ることである。現実空間にスタンドエネルギーとして広がる戦術空間は、空間内の「地形」や「生物の配置」を正確に写し取り、それらの変化にリアルタイムに同期し続ける。そうして得られた周囲の空間の地図は形兆の脳内にフィードバックされ、形兆はこの地図を基に軍隊の進軍方法などの戦略を練る。このためバッド・カンパニーは戦術空間内であれば、形兆の視界外や暗闇でも問題なく活動できる。

このように、バッド・カンパニーの活動する空間は現実世界であると同時に、そこに重ねられた「形兆の思考空間」でもある。バッド・カンパニーは現実世界の地形と敵を相手に、ミニチュア軍隊を用いてチェスのように戦術に特化した戦いを挑めるスタンドなのである。

また戦術空間は戦況に応じて、その展開方向や形状を変えることができ、例えば敵との対面時には形兆の前方に扇状に展開される。ただし空間を強力に管理する戦術空間は、形兆の情報処理能力のリソースを大きく消費するため、その範囲はあまり広くはない。それはつまり、その中でしか存在できないバッド・カンパニーの活動範囲も狭いということである。その射程距離は、戦術空間を形兆を中心に球状に展開した場合は半径5m程度、形兆の前方にのみ展開した場合でも10m以下しかないと推測される。


ところでスタンドは通常「重さ」を持たないため、空中に浮くことができる。しかしバッド・カンパニーの軍隊は、現実世界の人間や戦車と同じく、1Gの重力を受けているかのように活動する。これは戦術空間に彼らを下方向に引っ張る力が法則として与えられているからである(なお余談だが形兆の両耳に付けられたイヤリングは「下を向いた矢印」の形をしている)。

このため歩兵は床や地面の上を走って移動し、ロープを使って壁をよじ登り、高所から飛び降りる際には背中のパラシュートを使用する。また戦車も床などの上だけを走行し、戦闘ヘリはローターを回転させて浮揚する。

パラシュートで降下する歩兵

本来なら重力に縛られず「浮遊」できるスタンドにわざわざ与えられている、一見不便なこの性質は、その実バッド・カンパニーにとっては利点が多い。まず1つの利点は軍隊の移動を安定させられることである。例えば無重力空間で、普通のチェス盤と駒を使った対局は難しく、磁石入りの物のほうがはるかに使いやすい。バッド・カンパニーにおいても、スタンドが浮遊しているよりは地面・床面に貼り付ける力があった方が、形兆はバッド・カンパニーを整然と動かせるのである。

もう1つの利点は武器兵器を使用する際の安定性である。現実の武器兵器は、有重力下での使用に最適化された構造をしており、それを正確に模倣したバッド・カンパニーも、有重力下のほうが問題なく活動できるわけである(例えば重力がなければバッド・カンパニーの戦車は砲撃の際に、踏ん張りが利かずに地面で跳ねて浮かび上がったりしてしまう)。


バッド・カンパニーの兵士の1体1体には、ロボットのAIのような簡単な知能が備わっており、ある程度自立的に行動できる。バッド・カンパニーでは基本的に、戦術的な指揮は形兆が行い、実際の動作は兵士が行う。例えば「移動方向の指示」や「攻撃の標的やタイミング」は形兆が指揮し、実際の歩行や、標的に狙いをつけて撃つ動作は、兵士のAIが担当するわけである。

また個々の兵士の知能は軍隊全体でゆるやかに繋がっているらしく、まるで一つの生き物のように幾何学的に整列したり、整然と行進したりできる。そしてその連携能力によって彼らは、誤射によるフレンドリーファイアを起こすことも、撃った弾同士が空中でぶつかってしまうこともない。

なお、バッド・カンパニーの各種スタンド体の強度は本体身体との対応により与えられており、スタンドがダメージを受ければそれは本体に返る。ただし1体あたりに割り振られている本体身体との対応はあまり多くはないため、兵士が数体破壊された程度では形兆へのダメージはほとんど無い。


バッド・カンパニーが保有する兵器・兵装の火力は、サイズ相応ではあるがかなり高い。歩兵が持つ自動小銃の弾の一発一発は、敵の肉体に1cm弱埋まる程度の威力を持ち、歩兵数10名で一斉に連射すれば標的に無数の弾痕を空け、弾痕を別の弾がさらに深くえぐり、命中箇所が頭部であれば致命傷に近いダメージを与えられる。また戦車が撃ち出す砲弾や戦闘ヘリが発射するミサイル、歩兵が設置する地雷は、一発命中すれば敵の肉体の体表を10cm四方ほど浅く吹き飛ばせる。

群体型スタンドであるバッド・カンパニーはこれらの兵器を用いて、敵に対する多方向からの包囲攻撃、意識外の方向からの奇襲を可能とする。特にバッド・カンパニー全隊による間断ない集中砲火の火力は凄まじく、これを防ぎ切るのは近距離パワー型の人型スタンドでもまず不可能である。

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