スティッキィ・フィンガーズ STICKY FINGERS

2017/01/30改訂

本体名:ブローノ・ブチャラティ
<Buccellati:干しブドウなどが入った焼き菓子>

プロフィールJC63巻P146、エピソードJC55巻P169〜

能力:物体表面に「ジッパー」を作り出し、切開・接合する

スタンド形成法射程距離パワー
身体同形体 2m

当ページの要点

  • ジョジョ5部に登場するスタンドのうち「ポルポの矢」で生まれたものは、3部のスタンドと同じく「タロット」に対応している。
  • ただしそれらタロットは通常の解釈ではなく、より邪悪な解釈を与えられている。
  • スティッキィ・フィンガーズが対応するタロットは「星」であり、その暗示は「悪浄化」である。
  • スティッキィ・フィンガーズは本体ブチャラティの「良心を切り捨てきれない」心を反映し、物体の分割と接合を行えるジッパーの能力を持つ。

邪悪の樹

宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである『生命の樹』。ジョジョ3部のスタンドに深く関係するこの生命の樹には、「邪悪の樹」と呼ばれる上下逆さまに描かれた亜種が存在する。邪悪の樹とは、例えば社会の中で反社会的な組織が成長していくように、成長するものの一部が全体に反した成長を行うさまを表したものである。

「クリフォトの樹」とも呼ばれる邪悪の樹は、「邪な状態」を表す10個の円形「クリファ」と、それを結び「悪しき変化」を表す22本の小径「パス」から成る。そのパスに対応する22枚の「タロットカード」のうち、「邪に混乱せしもの」を暗示するクリファと、「邪に総括せしもの」を暗示するクリファを結ぶ「星」は、「構成要素の悪浄化」を暗示する。

反社会的組織が邪悪な成長として行う「悪浄化」は、組織のさらなる繁栄のため、不要なものを切り捨てることで行われる。例えば麻薬の販売という他人の人生を破滅させる行為は、人としての良心を捨てなくては実行に移せない。こういった良心を切り捨てるのが悪浄化であり、これによって反社会的組織は、より純粋化された邪悪として力強く栄えることになる。

ただし良心というものは人の心からそう簡単に切り捨てることはできない。このため組織がその構成員の隅々にまで良心なき行動を徹底させるには、彼らの心から少しずつ「良心を遠ざけさせていく」ことが重要となる。組織は彼らに良心なき行動を強制し、正当化させ、無心で行うように誘導していく。これが常態化することで彼らの心は良心という呪縛から少しずつ解き放たれ、いずれ完全に切り離されることになる。

そしてこのような組織のやり方は言うまでもなく間違っている。人には人として越えてはいけない領域があり、そこに踏み込むかどうかは、組織が邪悪な方向へと突き進むか引き返せるか、人の心が悪魔となるか否かの分水嶺である。

人はたとえ正義を貫くことが自分の不利益になろうと、目先の損得だけで自分の心が許せない邪悪に心を従わせてはならない。闇に呑まれて人が持つべき心の輝きを失ってはならない。そしてその心が世界の中で保たれるならば、世界は邪悪に道を踏み外すことなく、正しい道を成長していけるだろう。

スタンド解説

■殴った物体の表面に「ジッパー」を作り出し、その開閉で物体を「切り開く」または「くっつける」ことができる人型スタンド。そのスタンドの姿は、頭部の唇から上が球形の兜で覆われて両目は完全に隠されており、手の甲や肩など身体各部は薄いクッションのような装甲に覆われている。またその両頬と胴体の前面中心の体表にはジッパーのレールが走り、そして両手足の甲と喉の下・下腹部にはジッパーがぶら下がり飾り付けられている。

■本体のブチャラティは心優しい性格にも関わらずギャングの世界へ入らざるを得なくなり、心を痛めながら組織に尽くさねばならなくなった。そしてこのような「良心を切り捨てながらも切り捨てきれない」心理が、彼にジッパーのスタンド能力を目覚めさせる。この理由もあってそのジッパーは、単に切り開いただけでは物体のダメージにはならず、能力が解除されれば元どおりにくっつく。

■S・フィンガーズのジッパーは「殴る破壊力」が変換して作り出され、殴った場所からレールが走り、殴ったパワーに応じて力強く開く。このときレールが表れるのは物体表面だけだが、その能力は当然、物体深く切り開かれる「断面」全体に働いている。(なおこのジッパーには「スライダー(引き手)」も付いているが、これについては後述する) 

■またS・フィンガーズではジッパーが開く時、その面の間に「余分な空間」が作り出される。この空間はこの能力において非常に重要な役割を持つ。まずこの空間には「楔」のように、面の間を押し開いて遠ざけ、面が勝手に閉じるのを防ぐ効果がある。またこの余分な空間が生み出されると、そのぶん周囲の空間は「たわみ」、例えば鉄の壁でも1本ジッパーを走らせれば布のように開いて人が通り抜けたりできる。(ただしこれは空間のたわみによってそう扱えているだけであり、壁の強度自体は変わっていない) 

■さらにこの余分な空間で引き離された断面同士は、空間を飛び越えて「つながった」ままであり、つまり生物の肉体であれば「血流」などは滞りなく流れ続ける。またジッパーで物体内に空間を作り出し、そこに何かを入れてからジッパーを閉じて消して、空間だけを維持することも可能である。

■ジッパーで割られた断面はこのようにある意味「保護」された状態にあり、能力が解除されれば勝手に閉じてダメージなく接合される。しかし一方で、ジッパーが物体を完全に分断して「2つ以上に分かれた」状態で能力が解除されれば、その時点で断面は物理的に「切断」されてしまう。

■そしてS・フィンガーズでは、ジッパーによる断面が小さく断面同士の距離が近いほど、断面は保護状態に近く、逆に断面が大きく断面同士の距離が離れるほど、断面は切断状態に近くなっていく。これは断面の間にある「余分な空間」が、大きくなるほど維持が難しくなるためである。ただこの性質は、ブチャラティの意志とスタンドパワーによってある程度ねじ曲げることが可能である。

■この性質を踏まえて、例えばブチャラティは敵との戦いでは、ジッパーで割った断面をなるべく「切断」状態に近くしようとする。S・フィンガーズの攻撃はよほどクリーンヒットしない限りはパンチ一発で敵の腕などを切り飛ばすには至らず、分断されないその断面は「保護」状態にしかならない。しかしブチャラティはこれを「切断」状態へと近づけて、血が流れ出す程度の傷にできる。(そしてそのあと敵が離れるなどしてジッパーが解除されても、そこには多少の切り傷が残る) さらにS・フィンガーズが敵の肉体を殴りまくり切開しまくってそれら切開面が合わさって肉体のどこかを完全に分断すれば、それはすぐさま「切断」状態へと変えられる。

■この逆にS・フィンガーズは、ジッパーで完全に切り離した物体でも、その断面の保護状態を保つことができる。そしてそれが生物の肉体である場合には、前述したとおり血流などは空間を飛び越えて維持される。ただしこの状態の維持にはそこそこの負荷がかかり、1〜2箇所程度であれば余裕でこなせる一方、肉体をジッパーでバラバラにするなどした場合には維持が追いつかなくなり、断面は保護できるものの血流などは止まってしまう。

■S・フィンガーズのジッパーが物体上にどう走るかは、ブチャラティの意思でコントロールが可能である。ただジッパーは特に意識しなければ、その物体を最も短い直線で割れる方向に走り、これが最もパワーが強い。このためブチャラティは敵との戦闘ではジッパーが自然に走るに任せ、腕や腹を殴ればジッパーはその部位を輪切りにするように走る。またS・フィンガーズが物体の表面を滑るように殴れば、それに沿ってジッパーが走ることになる。

■ちなみにジッパーが解除されずに維持されるブチャラティからの距離は、建造物の壁など物質にジッパーを走らせた際には10m弱、スタンドへの抵抗力を持つスタンド使いの肉体を割った際には3m強といったところである。

■ジッパーの能力は前述したとおり、物体を切開するだけでなくレールを噛み合わせて物体を「接合」することもできる。ただこれは正確には、ジッパーと一体となって存在する「余分な空間」の効果によるものである。ブチャラティの「良心を切り捨てきれない」心理が生み出すこの空間は、「プラス」の量を持って物体を力強く押し開くだけでなく、「マイナス」の量を持って物体を強力に引き寄せ接合することもできるのである。そしてそれゆえにこの接合は、ジッパーのレールの部分だけでなく「面全体」で行われている。

■この接合能力は、単純に2つの物体を両面テープで貼り付けたかのようにくっつけることができる他、切断された手などをくっつける治療目的で使うこともできる。そしてこの能力でくっつけられた接合面は、その生物の霊的な自己治癒力のためか、神経などが正しく元どおりにつながるよう誘導されるようである。

■さらに余分な空間が持つ「牽引のパワー」は、ジッパーのレールの形で表れたりもする。例えばブチャラティは作中で、切り離したS・フィンガーズの腕をレールでロープのようにつなげ、遠くの物を殴ったりしているが、この時のレールは切り離した腕を「つなげておく力」が作り出すものである。

■またレール上に現れるスライダー(引き手)は、余分な空間の「牽引力」と「排斥力」を直接操れる。スライダーは通常ジッパーの開閉に応じて勝手に動き、付いている必要はあまりない。ただこれを手で摘んで引っ張れば、そのぶん開閉のパワーは増す。また壁面などにスライダーを付ければ、それは余分な空間からの牽引力によって、人間数人の体重を支える出っ張りとして掴むことができ、さらにそれをレール上で移動させれば人を引っ張り運ぶこともできる。

■なおブチャラティは、「自分の本心を偽って組織に尽くす」心理から目覚めたS・フィンガーズの影響か、「他者のウソを見抜ける」という特技も獲得している。ジョジョの世界では人がウソをつく、つまり自分の魂に対して肉体的な言動を偽ると、魂と肉体がわずかに乖離する。そしてこの時にその者が動揺などして体から「汗」を出すと、コントロールできないそれには「魂の本心」が味付けされる。ブチャラティはこの汗が相手の皮膚に与える影響を「見る」か、またはこの汗を自分の舌で舐めた「味」によって、相手の返答が本当かウソか分かるのである。(この原理はジョジョ3部のスタンド「アトゥム神」の能力に少し似ている) 

内部リンク

『スタープラチナ』
ジョジョ3部の主人公である空条承太郎を本体とする、「生命の樹」側の「星」のタロットのスタンド。その人型スタンドは純粋ゆえに限界に達した性能を持ち、さらに「時間が止まった世界で動く」ことも可能としている。
『ブラック・サバス』
邪悪の樹の図上で「星」の反対側に位置する「太陽」のパスのスタンド。本体は組織の幹部にして入団試験官のポルポ。組織への入団希望者をスタンド使いに変え、組織を強く大きくしていくための能力を持つ。
『アトゥム神』
ジョジョ3部に登場。生命の樹の図上で「星」のパスが向かう先にあるセフィラのスタンド。本体が行う質問に対する相手の「魂の反応」を見ることで、肯定か否定か心を読める能力を持つ。
『ザ・ハンド』
ジョジョ4部に登場。「右手で空間を削り取る」能力を持つ人型スタンド。余談だが作者がカラー監修をしている「超像可動」のフィギュアでは、S・フィンガーズもザ・ハンドも同じメタリックブルー・パールホワイト・ゴールドで彩色されている。
『「黄金の風」でのアルファベットの象徴』
ブローノ・ブチャラティという「B」で韻を踏んだ名前の意味について。
『スタンド使いの特異な「自然治癒」能力』
スタンド使いの肉体的負傷は大ざっぱな処置でもけっこう問題なく治るという説明。
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