ザ・フール THE FOOL:愚者
Tarot-No.0

2017/06/25改訂

本体名:イギー

犬(ボストン・テリア)、♂、高い知能を持つ、プロフィールJC24巻P89

能力:砂の集合から成る犬型スタンド

スタンド形成法射程距離パワー
無定形集合体 4〜5m

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
  • 「愚者」のパスは成長するものが、成長を始める分野に入り込む「進入」を行う。
  • ザ・フールは物質世界の「砂」と融合することで、物質世界に自分を力強く留め置ける「砂のスタンド」である。

タロット解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。

そして22枚のタロットのうち、「遊離せしもの」を暗示する「オシリス」のセフィラと、「進入せしもの」を暗示する「ホルス」のセフィラを結ぶ「愚者」は、「開始分野への進入」を暗示するカードである。

成長体は「愚者」のパスの起点である「オシリス」のセフィラに在る時点では、学校を卒業して就職先を決めていない者のように、どこにも属していない状態にある。そして周囲とのつながりが薄いその状態は、成長にはあまり適していない。ここから属すべき「分野」を決定し、そこへの「進入」を行うのが、生命の樹の最初に位置する「愚者」のパスである。

ただし成長体は進入した時点ではまだ、冷凍庫から出されたばかりの氷のように、周囲の分野に溶け込んでいない不安定な状態にある。そしてこれを安定化するための成長体の「開放」は、生命の樹の中心線を挟んで反対側に位置する「魔術師」のパスで行われることになる。

人が成長するにあたって進入する分野の選択は、当然非常に重要である。最も望ましい選択は趣味を仕事にするように、「願望」と「実利」を両立できる分野への進入である。しかしそのような選択肢は必ずしも用意されているとは限らず、その場合には何かを諦めなくてはならない。また人生においては自分の望まぬ環境への帰属を強要され、逃げ出したくなることもある。

そういった時に頼りになる選択の指針は、自分の「理想」や「目的」を自分の「仕えるべき主」と考え、その立場から判断することである。人は言うまでもなく常に正しい選択をできるとは限らない。しかし自分の中に確固たる哲学と信念を持ち、その基準から何に挑み、何を諦め、何から逃げ出すかを判断するなら、結果として誤りであった選択にも納得して力強く歩み続けられる。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。

スタンド解説

■本体周囲の砂・チリ・ホコリ・微粒子を集めて形作られる「砂のスタンド」。その姿は本体のイギーと同じく「犬」の姿だが、大きさは小型犬種の本体より二回りほど大きく、後ろ半身には後ろ足の代わりに大きなタイヤが付いている。またその顔は未開の部族が被る円形の仮面のようで、口部分は犬のように出っ張り尖った歯が並び、仮面の周りには羽飾りが放射状に付けられている。

■そしてこのスタンド体は無定形の砂の集合であるがゆえに、さまざまな姿への変形・変身も可能としている。(詳しくは後述する) 

■生まれつきのスタンド使いである本体イギーは、「高い自立心」を心に宿した小型犬である。彼は人間の赤ん坊並の小さな体でありながら、誰の助けも借りずに自分で自分を導いて生きることを望み、それが彼に動物離れした知能を獲得させる。

■その知能の高さは物理的には犬でしかないイギーの身の丈を越えたものであり、それを保ち続けるのは高いところにずっとぶら下がり続けるかのように困難なことである。しかし彼は自立心と反骨心が困難さを上回ることで、それを日常的に保つことができている。

■そしてザ・フールの能力は、これと同じ理屈をスタンドエネルギーに働かせた結果のものである。イギーの小さな体に宿るスタンドエネルギーの量はかなり小さく弱く、本来なら物質世界に力強く出現させることはできない。しかしそのスタンドエネルギーは砂以下の小さな粒状物質を「掴む」ことで、自身を物質世界に強く留め置ける性質を持っている。そしてこの「粒状のスタンドエネルギー」が無数に集合することで、ザ・フールは形作られている。

■粒状物質に水飴のように絡みついたスタンドエネルギーは、その物質本来のサイズより数回り大きくなる。このためザ・フールの出現にはその体積と同量の砂・チリ・ホコリは必要ではなく、屋内などでも問題なく出現させられる。(ちなみに粒状物質は当然地面や床面に最も多く溜まっているため、ザ・フールが出現する際には、地面から砂の山が盛り上がるかのように現れる) またこれら粒状のスタンドエネルギーは水飴のように互いにくっつく。このためザ・フールの体はかなりの強度を持っている。

■このように形成されたザ・フールは全身が実体化しており、全身に渡って物質を「透過」することはない。またザ・フールは形成に本体身体を利用しておらず、破壊されたとしても本体にダメージを返すことはなく、さらには破壊箇所を数秒足らずで修復できる。これらの性質によってザ・フールは、本体イギーを守る「防御壁」として非常に役立つ。

■ただしザ・フールは何も工夫せずに砂を集めてくっつけただけでは「砂の塊」にしかならず、スタンド体を素早く力強く動かすことはできない。このためイギーは「粒状のスタンドエネルギー」を複雑にくっつけてさまざまな形状の「パーツ」を作り、さらにそれらを複雑に組み立てて擬似的な「筋肉」などを作ることで、この問題を解決している。

■また普通のスタンドと違って「粒状物質を掴む」ことで物質世界に留まれているザ・フールは、イギーの意識が集中する前半身ほどパワーが強く、逆に後半身ではパワーが弱まり、構造も単純になる。そしてその影響はザ・フールのスタンドデザインに大きく表れることになる。

■ザ・フールのボディのうち最もパワフルで複雑な構造をしているのは「前足」であり、普通の動物のそれのように筋肉が複雑に入り組んで出来ている。そしてこの筋肉は、風船のような「袋状」の砂のパーツに、「流砂状のスタンドエネルギー」を流し込んで膨らませたり、逆に抜き出してしぼませることで、筋肉の収縮・伸長と同じ働きを行わせている。ザ・フールの前足には数本のチューブが巻き付いているが、これがつまりはエネルギーの流し込み・抜き出しを行うためのものである。

■またその前足の指先は、ザ・フールのボディで最も高密度にスタンドエネルギーを集中させることができる箇所であり、そこには猫のように出し入れできる「爪」がある。そして上述した筋肉で前足をパワフルに振り動かせば、その爪は敵の肉体をかなり深く切り裂ける。

■ザ・フールの「頭部」は前足に次いで複雑な外観を備え、仮面のような顔の鼻・上あごから下あごは犬のように突き出し、口の中には尖った牙が並んでいる。この口にはおそらく前足と同じように「筋肉」があり、(作中では行っていないが)噛み付き攻撃が可能と思われる。一方砂のパーツでは「眼球」のような高度な感覚器官は作れないため、仮面の目の部分にはただ穴が空いているだけである。

■次にザ・フールの「胴体」は、前足や頭部に比べるとかなり単純な球体に近い外観をしており、硬く形態を維持することを主眼としたような造りである。(あるいはこの胴体部は、前足の筋肉へのスタンドエネルギーの送り込み・抜き出しをパワフルに行うためのタンク・ポンプとしての役割を持ち、そのための機構が内蔵されているのかもしれない) 

■そして最後にザ・フールの後足は、上述したように「タイヤ」へと置き換えられて形成されている。この理由は前述した、ザ・フールは後半身に向かうほどパワーが弱くなるという性質にある。そのパワーの低さでは複雑な筋肉構造を備えた後足を形成しようとしてもかなり脆弱なものしか作れず、それならば単純な形状のタイヤを力強く形成した方が有利なわけである。

■幅広で厚みのあるそのタイヤは、ザ・フールが前足で地面を蹴って走る際には、進行方向に向きを合わせてスムーズに転がると同時に、ボディが上下動する衝撃を良く吸収し、走る勢いを極力殺さないようにできる。

■この基本形態はザ・フールにとって最もパワフルに活動でき、攻撃にも適した形態である。その一方でザ・フールはイギーの「防御」や「逃避」の本能に反応することで、砂のスタンド体を「変形」させることもできる。

■この変形は作中で2回行われている。1回は地中から襲いくる敵スタンド「ゲブ神」に対して、後半身のタイヤを「砂の翼」に変形させて、前足でイギーを掴んで空へと逃れていた。(ただこの時は空条承太郎も相乗りしていたせいか、翼を羽ばたかせて飛び続けることはできず、紙飛行機のように滑空するのが精一杯だった) もう1回は敵スタンド「ホルス神」から逃れた川底で、イギーを包み込むドーム型にスタンド体を変形させて空気を取り込む管を水面上に伸ばし、「潜水ポッド」になっていた。

■ちなみにこの変形に関連してザ・フールは、体内に取り込む砂・チリ・ホコリの量をかなりの幅で調節可能である。そして取り込む粒状物質の量が多ければ、その体はより強固に固められ、攻撃力・防御力ともに増大するが、反面動きは鈍くなる。逆に取り込む粒状物質の量が少なければ、その体は軽くなりスピードが増すが、反面攻撃力・防御力は低下する。

■さらにザ・フールの変幻自在の砂の体は、人間の姿などに「変身」することもできる。その変身はかなり精巧であり、作中では暗い場所という条件付きではあるが相手を十分騙せている。そしてこの変身の原理はおそらく、スタンドの表面部の強度をあえて低下させ、そこに変身したい者の姿を「投影」することで、細部の造型を行っていると考えられる。

■この変身能力でザ・フールはまず、本体のイギーに化けることができる。この変身はイギーの姿を素直にザ・フールに投影することで行われ、それは(スタープラチナが空条承太郎の姿をベースとしているように)簡単に行える。

■またこの変身能力は作中で「DIO」にも化けており、この変身はいくつかの条件が整っていたために可能だったと考えられる。まずこの変身が行われた場所はDIOの館内であり、その領域内には(ジョースター一行が感じていたように)DIOの邪悪な波動が充満していた。この波動を投影することでDIOの姿はある程度まで造形される。次にこの変身はDIOの最側近であるヴァニラ・アイスを騙すために行われ、その際にはまずヴァニラ・アイスに「砂のDIO」の姿を遠くから見せてDIOだと思わせ、その後に近づかせている。ここで砂のDIOにはヴァニラ・アイスのイメージも投影され、結果イギーはザ・フールをDIOそっくりに造形できたわけである。

■本体のイギーは犬であるため「嗅覚」が非常に鋭く、隠れて攻撃してくる敵や逃げた敵に対しても、匂いによる探知・追跡が可能である。またイギーの知能は前述したとおり非常に高く、人間の言葉すら理解できる。そしてイギーはおそらくザ・フールを使えば人語の発声も可能であり、上記のDIOへの変身の際にはそれで喋っていたようだが、普段ジョースター一行などの人間と関わる際には何かのこだわりがあるのか、喋って会話することはない。

内部リンク

『マジシャンズレッド』
生命の樹の図上で「愚者」の反対側に位置する「魔術師」のパスのスタンド。鉄をも溶かす「スタンドの炎」を生み出し操る。
『オシリス神』
1番目(&10番目)のセフィラのスタンド。賭けで負かした相手の魂をコインに変えて保管する能力を持つ。
『アクア・ネックレス』
ジョジョ4部に登場。水に混じって移動する人型スタンド。仮面のような顔、物理ダメージ無効などがザ・フールと共通している。
『マンダム』
ジョジョ7部に登場するスタンド。時間を6秒だけ戻せる。その本体リンゴォ・ロードアゲインは「男の世界」という独特な美学のもとに、自分を厳しく律しながら生きている。
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