DIOの呪縛 (スタンド名なし)

2023/02/09改訂

本体名:空条ホリィ <クウジョウ・ホリィ>

ジョセフ・ジョースターの娘、空条承太郎の母

能力:本体を衰弱させるツル植物状のスタンド

スタンド形成法射程距離パワー
能力顕現体

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • 空条ホリィのスタンドは「生命の樹」がとる4つの姿の1つである「ソード」の暗示を持つ。
  • 「ソード」は「成長するもの」が、処理しきれない変化を負荷として抱えた状態を表す。
  • 空条ホリィのツル植物のスタンドは、彼女自身に絶え間ない負荷を与え続け、衰弱の果てに死に至らしめる。

「ソード」のスート(読み飛ばし可)

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ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る「変化の共通性」を図像化したものである。

「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成る。そしてタロットはパスの方に対応している(また3部後半に登場する「エジプト9栄神のカード」はセフィラに対応している)。

生命の樹の図は左右対称になっているが、これには意味がある。生命の樹の右側のパスは成長体に「新たな状況への直面」という不安定化を起こし、左側のパスは「その状況への対応」という安定化を起こす。前者を「不安定化パス」または「軟化パス」、後者を「安定化パス」または「硬化パス」と呼ぶことにする。

成長体は、この2種類の変化がバランスよく起こることで、大きすぎる不安定化で自身を崩壊させることも、少なすぎる不安定化で自身を硬直化させることもなく、順調に成長していけるのである。

ここでこの2種類のパスに一つのルールを与えてみる。それは、「生命の樹で左右対称に位置するパスは、順調に成長できるバランスである時には双方同じ長さで描かれ、そうでない時には過少な方が短く描かれる」というルールである。すると生命の樹はこのルールによって「4つの姿」を持つことになる。そしてその1つは、硬化パス側の長さが過少な姿、「生命の樹が左側に大きく曲がった姿」となる。

この状態は、硬化パス側に軟化パス側が被さった形が、「血に濡れた刃」を思わせることから、「ソード(剣)」と呼ばれる。ここでは詳しく解説しないがこのソードは、「小アルカナ」と呼ばれる56枚のカード、それを4つに分ける「スート」の1つである。

不安定化に安定化が追いつかないソードの状態は、成長体にとって非常に過酷な状態である。そのためこの状態は、成長体自身が望まない外圧によって与えられることが多い。そしてもしこの状態が、いずれ成長体の破滅や死につながるものであるなら、当然早急に解消されなければならない。

その反面、命にかかわるほどではない事柄でのソードは、必ずしも悪い状態ではない。例えば仕事の締め切りが早いというソードの状態は、仕事への勤勉な取り組みや、効率的に仕事を片付けていくための工夫をその者にもたらす。「拙速は巧遅に勝る」とも言われるように、ソードの状態は使い方次第で成長の近道になる。ただしその場合でもその成長は、成長体への負荷と引き換えのものであること、また通常の成長よりハイリスクハイリターンなものであることを忘れてはならない。

スタンド解説

「DIOの呪縛(スタンド名なし)」は、ジョジョの奇妙な冒険第3部「スターダストクルセイダース」の登場人物、空条ホリィに発現したスタンドである。そのスタンド像は、トゲの生えたツタにギザギザの葉とヘビイチゴのような実をつけた、「ツル植物」の姿を持つ。

空条ホリィ
ツル植物状のスタンド像

このスタンドは、ホリィの曽祖父であるジョナサン・ジョースターの肉体を奪った吸血鬼DIOに目覚めたスタンド能力が、ジョナサンの子孫であるホリィに「魂の信号」として伝わり、それをきっかけに発現したものである。しかしながら彼女は、戦いとは無縁なおっとりした性格ゆえに、「彼女独自のスタンド能力」を目覚めさせることはなかった。

代わりにこのスタンドは、手入れされない庭が野草に荒らされるかのように、彼女が意図しない方向へと勝手に能力を獲得する。その能力とは、DIOから常に届き続ける「魂の信号」の受信性能を高めていくことである。

「魂の信号」の受信が始まった初期には、おそらくホリィの能力はスタンド像を持たず、ホリィの肉体だけで受信を行っていた。しかし長期に渡る受信が彼女の肉体からスタンド像を呼び覚まし、ツル植物型のスタンドとして「発芽」し、成長を始める。

そしてホリィの肉体から「霊的な延長物」として生えるこのツル植物の材質と形状は、まるでテレビの屋外アンテナのように、ホリィの肉体よりも強力に「魂の信号」を受信する。


またDIOから伝わる「魂の信号」には、テレビ放送波に映像と音声の信号が乗せられているように、「DIOの魂の性質」が信号として乗せられている。その内容は、ただ勝利と支配だけを求め、そのためには手段を選ばず他人の命すら歯牙にもかけないという、ホリィの性格とは正反対なものである。

空条ホリィと同じくDIOからの魂の信号でスタンドが発現したジョセフ・ジョースターと空条承太郎は、この「DIOの邪悪な波動」に抵抗するだけの精神力を備えており、そしてその負荷に耐えた結果、自身の個性を反映したスタンド能力を獲得することができた。

しかしおっとりした性格のホリィには「DIOの邪悪な波動」の負荷は強大すぎ、結果ホリィの精神と肉体は変調をきたすことになる。


ツル植物の発芽と成長は、まず背中から始まる。これは背中という部位が人間にとって、最も自分で目が届きにくく、意識しにくい部位だからである。そうして背中からスタンド像が現れたことで、「DIOの邪悪な波動」の受信能力は一気に高まり、ホリィは高熱を発して昏倒することになる。

ホリィの背中から生え始めたツル植物

そして持続する強力な「邪悪な波動」は、彼女の精神と肉体を容赦なく苛み続け、逆にツル植物はより成長してさらに強力に「邪悪な波動」を受信する。この悪循環で、「邪悪な波動」の影響は時が経つほどに強まり、成長していくシダ植物は少しずつホリィの全身をおおい包み、50日ほどで衰弱の果てに死に至らしめる。

そしてこの呪縛を解く方法はたった一つ、ホリィが死んでしまう前に「邪悪な波動」の発信源であるDIOを殺すことのみである。


ところで余談になるが、吸血鬼DIOは作中で一部の部下に対して、自分の体細胞から「肉の芽」と呼ばれるピン型の小さな肉塊を作り出し、これを部下の額から脳へと突き刺し埋め込んでいた(その針先は脳幹にまで達している)。これはホリィのスタンドの亜種とでも言うべき効果を持っている。

額に埋め込まれた「肉の芽」

肉の芽もまた、「DIOの邪悪な波動」を空間を超えて伝える力を持っており、これを埋め込まれた者は、常時脳に送り込まれる「邪悪な波動」によって洗脳され、DIOにカリスマを感じる忠実な部下となる。

「肉の芽」の効果

さらに肉の芽は、この洗脳に対する相手の精神的抵抗力を奪うために、相手の脳を少しずつ食い荒らしていく。その侵食は、相手の本来の性格がDIOと相容れないものであるほど激しくなり、早ければ数ヶ月で相手の脳を食い尽くし死に至らしめる。

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