ハーヴェスト HARVEST:収穫

2023/02/09改訂

本体名:矢安宮重清 <ヤングウ・シゲキヨ>

太った中学生、通称「重ちー」

能力:広範囲を探索し、小銭などを拾い集めてくる数100体の小型スタンド

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
能力作業体
+α(本文参照)
数100m 全操作分離

当ページの要点

  • 杜王町の大地の上には、スタンド使いでも見ることのできないほど微弱な「大地の精霊」が存在している。
  • 小型スタンドの群れであるハーヴェストはこの「大地の精霊」に力を与えて作られている。
  • ハーヴェストは探索時に人間や民家の微弱な「結界」を感じ取り、それらには手を出さない。

大地の精霊

ジョジョの世界には、世界をあまねく満たし、物質や生物に宿っている霊的な力である「知性」なるものが存在する。この知性はそれが宿った物質・生物の構造などを情報として「記憶」し、またその情報を周囲に信号として「発信」する性質を持っている。

そしてこの知性は、種々さまざまな生物が生命の歴史を紡ぐ土地の「大地」の中に、その土地固有の巨大な意識体を生じさせる。この「知性の大地」は、過去にその土地に生きた生物たちの生命活動を記憶しており、そしてその情報を今現在その土地に生きる生物たちに発信し続ける。

また「知性の大地」から発信される「生命活動の記憶」は、自然物が宿している微弱な霊的なエネルギーと反応して、大地の上に小さく弱々しい霊体を無数に生み出す。これは世界各地の伝承にある「精霊」「妖精」と呼ばれるものと同種のものである。

ただしジョジョの世界におけるそれらの存在は非常に微弱であるため、通常はそれらは何らの力も持たず、またスタンド使いの霊的視覚で捉えられることも無い。つまり、存在しないも同然である。

スタンド解説

ハーヴェストは、ジョジョの奇妙な冒険第4部「ダイヤモンドは砕けない」の登場人物、矢安宮重清のスタンドである。

杜王町に住む中学生である彼は、通称「重ちー」と呼ばれている。そして年齢の割にぼんやりとした性格のこの少年は、杜王町の大地の上に蠢く「大地の精霊」をぼんやりと認識できる(世界各地に伝わる少年少女にだけ見える妖精の伝承のように)。そして彼はそれらに自分のスタンドエネルギーを分け与えることで、小型スタンドとして大量に作り出し、使役する能力を持っている。

重ちー

「大地の精霊」は本来さまざまな姿を持つはずであると考えられるが、それを基に作られるハーヴェストは、「重ちーのスタンド」として画一化された姿を持つ。その外観は「スタンドエネルギーを風船のように閉じ込めた外骨格生物」のようで、高さ5〜6cmほどの卵型の体に卵型の尻尾と手足が付いており、その全身は余すところなく殻で覆われている。手足は昆虫のように6本、腕が4本と脚が2本あり、手の指は3本である。卵型の体の前面には大きな顔が付いており、その目鼻口は腕と脚の間の高さにある。

ハーヴェスト

またハーヴェストの両目のすぐ上には上から物を差し込める隙間があり、ここには小銭サイズの硬貨をぴったり収めることができる(この隙間はスタンド体内の圧力調整用なのか、空気を勢いよく噴出させることもできる)。額に当たる場所の中心(5円か50円硬貨を隙間に差し込んだ時に硬貨の穴から見える体表)には小さな穴があり、ここからはハチの尻尾のように小さな針を出すことができる。また全身の体表にはミツバチのような横縞模様が描かれている。

「大地の精霊」に少量のスタンドエネルギーを分け与えて作られるハーヴェストは、重ちーが持つスタンドエネルギーの総量の範囲で大量発生させることができる。その総数は作中の重ちーのセリフによると500体ぐらいである(ただこのセリフは半分出任せなのであまり信用できない)。

またハーヴェストの体の強度は本体身体との対応によって与えられているため、スタンドがダメージを受ければそれは本体に返る。ただし1体当たりに割り振られている本体身体との対応はごく僅かであるため、ハーヴェストが数体破壊されても本体のダメージは皆無と言っていいほど軽微である(ちなみにハーヴェストの体の強度はプラスチック並といったところであり、人型スタンドに殴られれば簡単に割れて壊れる)。

ハーヴェストの1体1体には昆虫に少し勝る程度の知能があり、本体から遠く離れた場所でも自立行動が可能である。その射程距離は、彼らの殻がどの距離まで保たれるかによるが、おそらくは数100m程度である。そして彼らは重ちーの指示に応えて射程範囲内に散開し、花の蜜を集めてくるミツバチのように小銭などを拾い集めてくる(ちなみに彼らは小さい割にかなり足が速く、人が普通に走るくらいの速さで走れる)。

そしてこの探索の際に彼らは、他人の家に入り込んだり他人の持ち物に手を出したりすることは決して無い。知能が低めの彼らにそれを可能とさせているのは、彼ら特有の霊的な知覚能力、「思念の結界」を感知する能力によるものである。

思念の結界

ジョジョの世界において万物に宿る「知性」という力は、個々の物体の中にその物体固有の知性情報を宿し、それはある種の力場を作り出している。またこれに加えて人間は、「自分の所有物」に対して無意識に思念めいた知性信号を発し、それは動物のマーキングによる縄張りのように、所有物に「思念の結界」とでも呼ぶべきものを作り出す。

例えば一人の人間は、自分の肉体に自分の衣服所持品を加えた範囲に思念を発して結界を作り出している。また一軒の家であればそこに暮らす住人の思念により、家の内部を範囲とする結界が作り出される(ちなみにその結界は住人が留守の間も維持される)。

「思念の結界」は前述した「大地の精霊」と同じく非常に微弱で、通常は何らの力も持たず、またスタンド使いの霊的視覚で捉えられることも無い。ただこの結界は同じく弱々しい大地の精霊にとっては恐ろしいものであり、無理に立ち入れば霊体をかき乱され、消滅させられてしまう(これら「結界」の性質は、荒木飛呂彦氏の短編「デッドマンズQ」で詳しく説明されている)。

なお余談になるが、物体の「内」と「外」を分けるこの結界は、「物体に付与される」スタンド能力の効果範囲に少なからない影響を与えたりもする。物体に与えられ、浸透していく能力のエネルギーは、コップに注がれる水がフチのところで盛り上がって止まるかのように、結界の境目まで広がり、そこで止まることが多い。ジョジョに登場する数多のスタンド能力の中には、人間に対して働かせた能力がその衣服所持品にまで及ぶことが少なくないが、これは「思念の結界」によるものなのである。

スタンド解説(2)

「大地の精霊」を源とするハーヴェストは、人間が作り出す「思念の結界」を感知する力を持ち、またそれを本能的に恐れるため、収集中にその領域には決して立ち入らない。彼らは人家には決して侵入せず、通行人のバッグを漁ったりもしない。また彼らは銀行など公共の場に入ってATMの下を漁ることはあっても、台に置かれたお金を掠め取ったりはしない。このように彼らは「誰かの所有物」には決して手を出さず、捨てられた物や、こぼれ落ちて置き去られた物だけを拾うのである。

ハーヴェストの探索活動は上記の「思念の結界」を避けつつ、「知性信号の嗅覚」と「視覚」を頼りに行われる。小銭の探索では彼らは、その硬貨特有の「合金の知性信号」を嗅覚で探し、ドブ川の中からでも見つけ出し、発見すると視覚によって間違いなく日本通貨であることを確認する。

また作中では宝くじや商品券なども探しており、こちらでは知性信号の嗅覚は使えないため、ゴミ箱に当たりをつけてその中を純粋に視覚情報だけで探すことになる(ちなみにゴミ箱という場所は公共の場の中でもさらに「思念の結界」が弱いと考えられ、つまり彼らは街中で結界が弱い場所へ向かっていけば自然にゴミ箱に辿り着ける)。またハーヴェストは重ちーがしばらく手にして思念を与えた物であれば、それを見失った時に探すことも可能である。

上述したようにハーヴェストは通常、人間の所有物を盗むことも、人間に危害を加えることもない。しかし本体の重ちーが強い意志で指令すればそれらは可能となる。このとき重ちーが出現させ、周囲20〜30m以内で活動させるハーヴェストは、普段の遠距離探索のものよりパワー密度が高められており、その小さな手刀はスコップで地面を掘るように肉体に突き刺さり、削り取る。また強化されたハーヴェストは1体につき5kg以上の物を運べるくらいのパワーがあり、数10体がかりであれば体重110kgの重ちーを神輿のように担ぎ、バケツリレーのように運び、そのまま垂直な壁を登ることも可能である。

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