ハイエロファントグリーン HIEROPHANT GREEN:法皇の緑
Tarot-No.5

2017/05/18改訂

本体名:花京院典明 <カキョウイン・ノリアキ>

プロフィールJC15巻P7

能力:触手状にほつれたりできる人型スタンド

スタンド形成法射程距離パワー射程・パワー増加法
身体・能力顕現体 100m以上
(本文参照)
導体パワー伝達

当ページの要点

  • ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
  • タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
  • 「法皇」のパスは成長するものが、分野内にある材料を探し出す「探索」を行う。
  • ハイエロファントグリーンは長射程と狭い所に潜り込める特性を持った、探索向きのスタンドである。

タロット解説

ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。

「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している。(また3部後半に登場する「エジプト9栄神のカード」はセフィラに対応している) 

そして22枚のタロットのうち、「進入せしもの」を暗示する「ホルス」のセフィラと、「探索せしもの」を暗示する「バステト」のセフィラを結ぶ「法皇」は、「材料要素の探索」を暗示するカードである。

「法皇」が行う探索において重要なのは「移動する力」である。ある土地に引っ越してきた者が周辺を探検するなら歩き回る力、一枚の絵画を隅々まで見るなら目を動かす力という風に、移動する力は成長体を分野内の多くの要素に触れさせる、何より重要な力となる。

ただ見つけ出された材料要素はこの時点ではまだ、成長体によるいかなる加工も分析も行われていない状態である。そしてそれら材料要素は、幼子が知らない物を初めて見たときのように、成長体を不安定化させる。そしてこれを安定化するための材料要素の「分割」は、生命の樹の中心線を挟んで反対側に位置する「戦車」のパスで行われることになる。

また「法皇」は材料要素の「探索」だけを主眼とするパスである。これは例えば引っ越してきた町の商店街で、店に入らずにどんな店があるかを確認するだけの行動に近い。そして店に入るように、見つけ出した材料要素に直接干渉する「接近」は、生命の樹の図上で「法皇」の横を走る「皇帝」のパスで行われることになる。

成長体は「法皇」の探索によって、自分とは異なる理で動くさまざまなものに出会うことになる。そしてそれらの中にはカルチャーショックのように、「これまでの自分の常識」を大きく揺るがすものもある。またその中には拒絶したくなるほどの嫌悪感をもたらすものもあるかもしれない。

しかしそれを理由に世界を広く知ること、深く観ることを避ければ、自分の成長の可能性は大きく狭まってしまう。知性と心の強さを前提に考えるなら、この世に「知らなかったほうがいいこと」は存在せず、どんな出会いも成長の糧に変えられるはずである。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。

スタンド解説

■ハイエロファントグリーンは、ジョジョの奇妙な冒険第3部「スターダストクルセイダース」の登場人物、花京院典明のスタンドである。

花京院典明
ハイエロファントグリーン

■ハイエロファントは全身がエメラルド色に淡く光る人型スタンドである。その体表面にはメロンのようにスジが走り、身体各部は奇妙な形状の装甲に覆われ、口はマスク状のパーツで塞がれている。また両手のひらにはそれぞれ円形の紋様が2つずつ描かれている。

■そしてこの人型スタンドは、毛糸玉のように体を「触手」状に変えて、ほつれていくことができる。(触手は「触脚」と呼ばれたりもする) 逆に触手が丸まっていけば人型になる。

下半身をほつれさせたハイエロファント

■ハイエロファントの触手は、機械と生物の中間のような、筋(すじ)と節(ふし)が不規則に繋がり伸びていく構造を持っている。それらは自在に分岐し交わり、太さも一定ではない。そして触手の中には血液に当たるエメラルド色の体液が流れている。

ハイエロファントの触手(触脚)

■ハイエロファントは人型のときに受けたダメージは、普通の人型スタンド同様、本体の花京院に返す。一方で触手のときに受けたダメージは本体に返るとは限らない。具体的には、花京院が触手を「本体身体と対応」させ強度を高めているときのみ、触手のダメージは花京院に返り、そうでないときは触手が切断されても本体に影響はない。


■生まれつきのスタンド使いである本体花京院典明は、「自由な精神力」を生まれ持った人間である。そしてハイエロファントは彼の自由な精神のエネルギーが、肉体という定まった形の器に収まりきらずにはみ出し溢れた結果、不定形で有機的な触手状のスタンドとして発現した。

■しかしその一方で彼は、自分の自由な精神力が生み出す発想や行動が、他者には異常と受け取られ忌避されるものであることを幼少時に学習し、意識的に「自分を常識的な型にはめよう」ともしている。ハイエロファントが人型にもなれるのはこれが理由である。


■人型のハイエロファントが足元からほつれさせていく触手は、本体からのスタンドエネルギーを伝達する「ケーブル」として利用できる。これによりハイエロファントは、高いパワーを維持したまま本体から遠く離れられる。その正確な射程距離は不明だが、作中での最長は「サン」戦で人型を保って100m、「ラバーズ」戦で完全に紐状になって数100mである。

触手をケーブルにして本体から遠く離れるハイエロファント

■またハイエロファントの触手は、物体表面に這わせて狭いところに潜り込ませたりでき、その触覚で周囲の探索や敵の発見に大いに役立つ。このときの触手の動きは、花京院の柔和で穏やかな物腰と同じく、物体の起伏や動きに柔軟に対応し、非常に静かで滑らかである。また花京院が触手の「気配」を消すことを強く意識すれば、淡いエメラルド色の触手は風景に溶け込み、スタンド使いの目に非常に捉えにくくすることも可能である。


■ハイエロファントの人型スタンドは、触手に変形できる体の構造上、パワーや強度において通常の人型スタンドに劣り、直接殴り合うような格闘には向いていない。しかし代わりに「エメラルドスプラッシュ」という、破壊エネルギーを放出する技で攻撃を行う。

エメラルドスプラッシュ

■エメラルドスプラッシュは、10〜20cmほど離して向かい合わせた両掌からそれぞれ、緑色の体液を強力な勢いで噴出させてぶつけ、前方へと弾き出す技である。(ちなみに前述した両手のひらの円形の紋様は体液の噴出口である) また噴出された体液は、ぶつかり合い高圧縮されたときに、エメラルドのような塊をいくつも生成し、それらも体液と共に前方へと撃ち出される。そして結晶群は散弾のように撃ち抜く「破壊力」を、体液は力強く荒々しく押す「圧力」を、攻撃対象に与える。

■なおこの技は、手のひらを向かい合わせる角度で、前方への射出範囲と単位面積あたりの圧力を調節できる。例えば射出範囲を狭くすれば、高圧力の結晶群で何10mも先の対象を撃ち抜く「狙撃」ができる。逆に射出範囲を広くすれば、数m程度の近距離のみで破壊力が維持され、それを越えると結晶の溶解と体液の密度低下で破壊力を失うような攻撃ができる。(3部序盤の旅客機内での戦闘ではこれを使い、機体壁を壊さないようにしていた) 

■また他の攻撃手段としては、触手の先端を尖らせエネルギーを集中することで、槍のように敵を刺し貫く攻撃も可能である。ただおそらくこの尖らせた触手の強度は、高パワーのスタンドに通用するほど高くはない。


■さらに花京院は3部の最終決戦であるDIOとの戦いで、「ハイエロファントの結界」という特殊な攻撃技を使っている。この技はまず、完全に触手状にしたハイエロファントを、DIOを取り囲むように半径20mほどの空間内に(気配を消して)張り巡らせて「結界」を作る。そしてDIOが触手に触れると、周囲の触手から破裂した水道管のように「エメラルドスプラッシュ」が自動的に発射され、DIOを攻撃する。また、花京院の意思でDIOに向かって全方位から一斉射撃することも可能である。

■ただし本来、強度が低い触手状のハイエロファントは、エメラルドスプラッシュを撃ち出す際の高圧力には耐えられない。にもかかわらず花京院がDIOとの戦いでそれを行えたのは、「DIOとの最終決戦」という特殊な心理状態が、彼から限界を超えた力を引き出したからである。


■ところで花京院は、最初は「DIOの肉の芽」で洗脳されたDIOの刺客として登場し、空条承太郎と戦った。そしてこのときの花京院は、本来の「自由な精神力」が抑圧されていたため、おそらくハイエロファントが不安定化し、スタンドの操作に障害が起こっていた。

■承太郎との戦いでの花京院が、「絵画」で指定した場所を触手で攻撃させたり、手にした「マリオネット」のポーズどおりにハイエロファントを動かしたりしていたのは、不安定になっているスタンドの動作のイメージを補強・矯正するためと考えられる。

絵画を介した触手での攻撃
マリオネットを介したスタンド操作

■またこの間のハイエロファントは、空中や広いところを嫌って物質表面を這い回っては狭いところに潜むことを好み、一般人の体内に入り込んでその精神を「狐憑き」のように凶暴化させたりもしていた。これらもまたスタンドが不安定化していたがゆえの挙動であろう。

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