シアーハートアタック SHEER HEART ATTACK
本体名:吉良吉影 <キラ・ヨシカゲ>
殺人鬼、普段はサラリーマンとして生活、プロフィールJC44巻P87
能力:自身を中心に爆発を起こす小さな戦車型スタンド
スタンド形成法 | 射程距離 | パワー | 射程・パワー増加法 |
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能力戦闘体 +α(本文参照) |
数100m以上 | 高 | 全操作分離 |
スタンド解説
シアーハートアタックは、ジョジョの奇妙な冒険第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する殺人鬼、吉良吉影を本体とする人型スタンド「キラークイーン」の左手の甲に1台だけ格納されている戦車のような外観のスタンドである。
シアーハートアタックの姿は直径10cmほどの球体をベースとしている。その表面は分厚い金属で出来ているかのように硬く、正面にはドクロの顔が埋まるように付いている。このドクロはキラークイーンの頭部のように頭頂部の両側に角が生え、そして額には1本の短剣が飾られている。またこの球体は、下側が浅くカットされたように平らになっており、その接地面の両側には戦車のようにキャタピラが付いている。
そしてシアーハートアタックを出している時のキラークイーンの左手の甲には、この戦車の車体と同じ形の凹みができる。
人型スタンドのキラークイーンは、指先で触れた物体に「爆弾」の性質を与え、爆発させる能力を持つ。それに対して爆弾戦車シアーハートアタックは、スタンドの左手を離れて自立行動し、自身を中心に爆発を起こす能力を持つ(なお爆発しても車体にダメージはない)。その射程距離はキラークイーンよりはるかに長く数100m以上あり、吉良吉影はこれを「キラークイーン第2の爆弾」として使っている。
吉良吉影が持つ「爆発を起こすスタンド能力」の源となっているのは、彼が生まれ持った「高い創造性の才能」と、「それを抑圧する家庭環境での成長」である。これらによって生じた「抑圧された創造性のエネルギー」は、未練を残した「怨霊のようなエネルギー」へと変化して、スタンドの両手に溜まっている。そしてスタンドの手で他の物体に触れると、このエネルギーがその物体に流れ込み、解放されることで爆発を起こすのである。
そしてさらに、スタンドの両手に溜まリ続ける怨霊のエネルギーは、可動の少ない手の甲の部分で固まり凝縮する。この現象は吉良吉影の利き手でない「左手」でより強く起こり、そうして超高密度に固まった左手の塊は、凶暴な意識を目覚めさせ、スタンドの左手を離れて自動的に人を襲う力を獲得する。つまりはこれがシアーハートアタックである。
「怨霊のエネルギー」が超高密度に固まり作られているシアーハートアタックは、自身の表面から常に怨霊のエネルギーを滲出させ、身にまとっている。このエネルギーはシアーハートアタックに宿る意識により制御されており、この意識が爆発を望んだタイミングで点火されて爆発を起こす。
その爆発はキラークイーンが起こす爆発と同じく、「より高い生命エネルギーがある方向に襲いかかる」という性質を持つ。例えば生物がシアーハートアタックに触れている時に点火されれば、その生物を集中的に破壊して跡形もなく消し去る。一方そうでない時に点火されれば、シアーハートアタックを中心とした周囲全方向へ爆風を飛ばす。
ちなみに、シアーハートアタックの体表から滲出し続ける怨霊のエネルギーは、制御可能な量までしか保持できず、あぶれた分が空気と反応して蒸発し続けていると考えられる。そしてスタンド表面をなぞりながら上昇する熱気流は、スタンド能力を持たない一般人の目にも、「人魂の形にドクロの顔が浮かぶ空気のゆらめき」として見えるようである(作中で「靴のムカデ屋」の店主が見たのはおそらくこれである)。
上述したとおり、シアーハートアタックには自身を形作る「怨霊のエネルギー」から自然発生した「本能」が宿っており、これにより本体の吉良吉影から遠く離れていてもパワフルに自立行動できる、いわゆる「遠隔自動操縦型」のスタンドである。その本能は「人間を襲って消し去ること」しか頭に無く、しかしその知能はあまりに単純すぎるため、通常の視覚では人間を識別することができない。
代わりにこのスタンドは、「温度」を感知することで、人間(と思われるもの)を判別する。この戦車のドクロの眼窩の奥には、サーモグラフィーのように「温度」を見ることに特化した目があり、またその体表でも生物の皮膚のように温度を知覚できる。シアーハートアタックはこれらの知覚によって、最も高温の反応が見える(感じる)方向に突進し、体表に感じる温度が体温を確実に超えたタイミングで点火して、爆発を起こす。
また、このスタンドの本能には数字をカウントする程度の知能があるらしい。そして吉良吉影は、その場をシアーハートアタックに任せて立ち去る時に、「人間を何体消し去ったら帰還するか」を指示している。そして自動操縦状態のシアーハートアタックは、人間の接触爆破(つまり完全消去)に成功するとカウントを行い、指定数に達すると吉良吉影の元へ自動的に帰還する(このスタンドが時おり口にする「今ノ爆破ハ人間ジャネェ」というセリフは、接触爆破の失敗を口にしているわけである)。
シアーハートアタックのスタンド体は、自立行動の性能を高めるために機械的に発達した器官を備えており、キャタピラや熱源探知の目はその産物である。キャタピラを駆動させるのは爆発を起こすのと同じ「怨霊のエネルギー」であり、自動車の内燃機関のように内部で小規模な爆発を起こして車輪を駆動させていると考えられる。
シアーハートアタックは基本的にはこのキャタピラを使って、地面や壁を蹴り出してその反動で推進する。またそれ以外にもこの戦車はより単純に、車体後方から爆発のエネルギーを噴出させて推進することもできると推測される。とはいえやはりキャタピラは移動の主軸であり、これが破壊されると移動性能は損なわれ、動きも雑になってしまう。
「怨霊のエネルギー」が何年もかけて溜まり、凝縮し続けた結果であるシアーハートアタックのスタンド体は、あらゆるスタンドの中でも桁外れの硬度を有している。その硬さは、最強の人型スタンドである「スタープラチナ」がフルパワーの連打その他を数回食らわせても、キャタピラなどの外装部分は壊せても、核となる球体部分には凹みと小さな亀裂を入れるのがやっとであった。
ところで作中で追い詰められた吉良吉影は、自分の左手を切り落としてそこからシアーハートアタックを出現させるということを行っている。そしてこれを行うとシアーハートアタックは、吉良吉影からの意識的・無意識的な手綱が外れた暴走状態となる。
その本領は(仗助に妨害されたため)作中では描かれなかったが、おそらく怨霊のエネルギーの消費速度が跳ね上がり、この戦車の駆動パワーも跳ね上がり、そして通常時より見境なく爆発するようになる。
そして仮に地面に転がっている左手が爆発に巻き込まれて消滅しても、この戦車は消え去ることなく、残された「怨霊のエネルギー」の塊だけで暴走を続ける。さらにその暴走は、自身を作り出している怨霊のエネルギーをも歯止めなく削り取って消費し、その体はどんどん自壊していき、それを補うようにその本能はどんどん凶暴化して更なるエネルギーの消費を促し、暴虐の果てに数分足らずで消滅に至ると考えられる。
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