ジョルノ・ジョバァーナの「天国」への貢献

当ページの要点

  • ジョジョ6部には「DIOの3人の息子」が登場し、DIOの遺志である「天国」の実現に協力する。
  • ジョジョ5部の主人公ジョルノもDIOの息子だが、彼は6部には登場しない。
  • しかしジョルノも間接的に「天国」の実現に協力している。
  • それは「天国」の実現を妨げる存在、ジョジョ5部のボスである悪魔ディアボロの打倒である。

ジョジョの奇妙な冒険第6部「ストーンオーシャン」は、主人公空条徐倫の敵となるプッチ神父が、DIOの遺志を継いで「天国」なる世界の実現を目指す物語である。そして6部後半では、ケープカナベラル・ケネディ宇宙センターに向かうプッチ神父のもとに、「DIOの息子」であるウンガロ、リキエル、ヴェルサスが偶然合流し、「天国」の実現を後押しすることになる。それはプッチ神父に言わせるとただの偶然ではなく、彼ら3人の「使命」であり「生まれてきた意味」である。

プッチ神父とDIOの息子たち

そして知ってのとおり、DIOにはこの3人の他にもう1人息子がいる。ジョジョ5部の主人公、ジョルノ・ジョバァーナである。彼は6部には一切登場していない。しかしジョルノがプッチの言う「天国を後押しする使命」に全く無縁だったかというと、その答えは否である。以下でその理由について説明していく。

ジョルノ・ジョバァーナ

まず「天国」とは、プッチ神父が「DIOの骨」と融合して得たスタンドの最終進化形「メイド・イン・ヘブン」が、宇宙の時間を一巡させて辿り着く世界である。そこでは個人の人生や人類の歴史などにこれから起こる、全ての未来が「運命」として確定され、誰もそれを覆すことはできない。そしてこの確定されたレールを歩んだ先には、「人類が辿り着くべき正しい結末」が待っている。

全人類が一人余さず正しい未来の礎となり、その過程を「覚悟」すること。これこそがプッチ神父の望む「絶対の幸福」である。

しかしジョジョの世界には、「天国」の実現に大きな妨げとなる者が存在する。それはジョジョ5部のラスボス、ディアボロである。彼のスタンド「キング・クリムゾン」は、自分の周囲の時空間を消し飛ばして、その間に自分に降りかかるあらゆる運命を無効化できる。

「機銃の命中」を無効化するキング・クリムゾン

「自分に都合の悪い未来を回避する」スタンドというだけなら、他にもジョジョ3部の「トト神」や6部の「ドラゴンズ・ドリーム」などがある。しかしそれらには運命を覆すほどの力はない(例えばトト神は「空条承太郎が死ぬ未来」を何度も予知したが、それらは全て「承太郎を守る運命」の力に阻まれて、無理やり覆されている)。

運命そのものを消し去ってしまえるキング・クリムゾンは、世界の運命を操り導く「神」に真っ向から歯向かう、「悪魔」のごとき力なのである(これにはディアボロの特異な出生が関係しているのだが、ここでは深くは触れない)。

もしディアボロが世界の一員として存在したまま「天国」が訪れた場合、そこには重大な問題が生じる。仮に「天国」によって確定された未来の歴史を、天へと伸びる一本の塔だとする。塔は下方の過去から上方の未来へと、出来事のレンガを積み上げて出来ている。その塔は非常に強固で、本来なら誰にも傷一つ付けることはできない。

しかしその唯一の例外となるのがディアボロである。ディアボロがキング・クリムゾンを使い、「天国」で起こるべき運命の出来事を消すたびに、「天国」へ至る塔はジェンガを抜き取られたように少しずつ不安定になっていく。そしてシロアリに食い荒らされた柱のように、いずれ倒壊してしまうことになる。

つまり「天国」が実現されるには、事前に必ずディアボロは倒されていなければならない。そしてそれを成し遂げたのが、他でもないジョルノ・ジョバァーナである。彼は他の3人のDIOの息子に先駆けること11年前に、すでに「DIOの息子」としての使命、それも非常に重要な使命を終えていたのである。

ただし、このことを理由にジョルノが「天国」に賛同する意思を持っていると考えるのは早計である。「世界を邪悪に向かわせる」(5部ポルナレフ談)力を持った悪魔ディアボロは、それはそれで倒さねばならない存在であり、ジョルノは己の正義のもとにそれを行ったに過ぎない。その結果ジョルノが「天国」の実現を後押ししたとしても、それはジョルノの意思を超えた「神の計り事」でしかないのである。