「無敵の遠隔自動操縦」という分類

■ジョジョ3部から登場する超能力「スタンド」には、「本体からの距離」と「パワー」が反比例するという基本原則がある。このため通常のスタンドは本体から何100mも離れると非常にパワーが弱くなる。ただしこの原則はさまざまな方法で回避可能で、その1つに「スタンドの操作を本体から切り離し自動操縦にする」という手法がある。この手法を使えばスタンドはパワーを維持したまま射程を大幅に伸ばすことができる。

■そしてこの手法を使って「高パワー長射程で敵を自動的に追跡・攻撃する」のが「遠隔自動操縦型」と呼ばれるスタンドである。(ただその呼び名は作中ではあまり一定しておらず、その時々で「自動追跡タイプ」「自動追跡遠隔パワー型」などとも呼ばれる) 

■作中で遠隔自動操縦のスタンドとして初めて登場したのは、ジョジョ4部の「シアーハートアタック」である。そしてその後もこのタイプのスタンドは、「ハイウェイ・スター」「ブラック・サバス」「ベイビィ・フェイス(子)」「ヨーヨーマッ」「ドゥービー・ワゥ」など、各部にたびたび登場する。

■そして遠隔自動操縦のスタンドは広瀬康一やジョルノ・ジョバァーナのセリフで、「無敵」「本体にダメージを返さない」タイプとして語られている。実際上に挙げたスタンドはそのそれぞれが、何らかの「無敵に近い」性質を備えており、また本体へのダメージも(少なくとも物理的なものは)返していない。

■しかし別にそれらのスタンドは、「遠隔自動操縦だから無敵」というわけではない。このタイプのスタンドは例えば、内部に共通の構造があってそれが理由で無敵になるわけでも、ましてや遠隔自動操縦に分類されることで魔法のように無敵属性が付くわけでもない。

■ではなぜ遠隔自動操縦のスタンドが無敵に近くなるのかというと、それは例えば熱に強い生物でなければ砂漠に生息できないのと同じく、無敵性がなければ自動操縦になるのが非常に難しいからである。以下でこの理由について詳しく説明していく。

■遠隔自動操縦のスタンドにまず必要な要素は、「形状保持の性質」である。普通スタンド体は本体から遠く離れるほどに形状の保持が難しくなる。しかし自動操縦のスタンドは、本体から長時間離れても安定した姿で存在できなければ使い物にならない。このため自動操縦のスタンドは例外なく形状保持の性質、例えば硬い殻・再生能力・物質との融合などの性質を備え、この問題をクリアしている。

■そしてこの問題をクリアしてもまだ重大な問題が残っている。それは「本体の心理的な不安」である。スタンドの操作を切り離し、それを自分の目の届かない所で活動させるのは、本体にとってかなり安心できない状態である。「自動操縦の動き」はほとんどの場合、「本体自身の操作」に比べて酷く単純である。それはつまり、例えば自分の自動操縦のスタンドと敵スタンド使いが戦った時に、敵に動作パターンを見抜かれれば反撃され放題になるということである。これは特に、「本体にダメージを返すスタンド」では本体の命取りになる。そしてこの不安が払拭できなければ本体の心理的なロックが掛かり、スタンドを自動操縦にはできない。

■そこで重要になるのがスタンドの「無敵性」である。上述した形状保持の性質、あるいはそれとは別の性質、あるいはそれらの複合など、どんな理由ででも無敵性が備わっていれば、そのスタンドは敵からの反撃をものともせずに、執拗に攻撃し続けることが可能となる。そしてさらにこの状況では、「本体という弱点」は近くにいないほうが都合がいい。

■つまり「無敵」という性質が、自動操縦に関わる本体の心理を一転させ、スタンドを安心して遠くに放つ動機になる。以上の理由によって遠隔自動操縦のスタンドは、それぞれが手段は違えど「無敵性」を持つものばかりになる。

■そして自動操縦のスタンドを持たない他のスタンド使いたちも、それと一度戦えば上記の理屈を感覚的に理解し、広瀬康一やジョルノのように再びそれと対峙した時には、それを無敵に近くかつ本体に影響のない敵として戦うわけである。(例えば広瀬康一がブラック・サバスを「本体に影響のないスタンド」と言い切ったのは、日光で本体にダメージを返すスタンドを自動操縦にできるわけがないと理解していたからである) 

■なお余談だが、遠隔自動操縦型スタンドの「単純な動作」は、本体が気付かぬうちに「無関係な者」を巻き込む可能性が高い。これもまた心理的なロックを掛けるものであり、つまり遠隔自動操縦の本体は、自分のスタンドが起こす危害を無関係な者が被ってしまうことを許容している。ジョルノがブラック・サバスの本体ポルポを唾棄すべき邪悪と断じて始末したのは、その能力が弱者を容易に巻き込み殺してしまうものだったからである。

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