神拒む治外法権「杜王町」

■ジョジョの奇妙な冒険第4部「ダイヤモンドは砕けない」の舞台である杜王町は、日本の東北地方、M県S市にある、山と海に挟まれた人口6万人弱の町である。そしてこの土地には、大地に宿る巨大で霊的な意識体が存在する。

■ジョジョの世界には、世界をあまねく満たし、物質や生物に宿っている霊的な力である「知性」なるものが存在する。そして知性はその働きの一つとして、人々が集まり、住まい、社会を形成する土地の「大地」の中に、その土地固有の巨大な意識体を生じさせる。

■少なくとも縄文時代の昔から多くの人が住み続けてきた杜王町には、かなり早い時代から大地に宿る意識体が生じた。それは過去にこの土地に生きた者たちの生活習慣・しきたり・精神性といったものを記憶しており、そしてその情報を今現在この土地に生きる者たちに発信もする。この影響により杜王町の住人は無意識的に、この土地で受け継がれてきた精神性に従う傾向が強くなる。またその影響力は、大地に生える「木」のように先祖代々その土地に「深く根ざす者」ほど大きくなる。

■こうして杜王町は緩やかにしかし確実に、この「知性の大地」にして「大地に根ざす者たちの隠れた領主」である存在、「木と土の王」の力に治められていくことになる。

■またジョジョの世界にはこれとは別に、人の精神に作用する巨大な霊的存在がいる。それは世界全体を導く「神」である。しかし杜王町では、神からの作用より足元の大地に宿る「木と土の王」からの作用のほうがはるかに強く、神の力はほとんどかき消されてしまう。つまり杜王町は、神による統治を無視して独自の王を戴く「治外法権の土地」なのである。(これらの霊的特性は4部最終話で描かれた「杜王町の紋章」のデザインにも王冠などとして反映されているようである) 

■そしてジョジョ3部の時代から本格的に始まった「スタンドの歴史」は、この「霊的に隔絶された土地」において、ガラパゴス諸島の生物のように独特な進化を遂げることになる。

■なおジョジョ4部の主人公である東方仗助は「ジョースターの血統」の一人だが、彼はその象徴である「首の付け根の星形のアザ」を作中で一度も見せていない。存在自体は間違いなくしているであろうアザが一度も描かれなかった理由は、「星のアザ」に込められた意味にある。

■ここでは詳しく解説しないが、「星のアザ」は「ジョースターの輝く魂」を示す印である。そしてジョースターの輝く魂は世界全体を導く神の目を強く引きつけ、彼らに神の加護を与える効果がある。

■しかし杜王町という土地では前述したとおり、神の力はほとんどかき消され、ジョースターの血統が持つ「輝く魂」の効果も大きく損なわれる。それを表すかのように4部作中では、東方仗助の星のアザは一度も描かれなかったのである。

■その一方で4部には、ジョースターとは別に「星の印」を持つ者が登場する。「ハイウェイ・スター」のスタンド使い噴上裕也である。彼はスタンド名はもとより、アゴの入れ墨や襟飾りにはっきりと「星の形」がある。

■おそらく噴上裕也の魂は、世界全体を導く神にとっては特に目を引くものではない。しかし一方で杜王町の「木と土の王」の嗜好には深く合致して、光り輝いて見えると考えられる。(それは地方限定で人気のローカルアイドルや、あるいは東北民にとって芋煮会が特別なものであったりするのと似ている) 

■そしてそれゆえに噴上裕也のスタンド能力は、杜王町の大地の深層から表層までを味方につけ、無茶をしすぎて死にかけた彼を全力で救うための能力となっている。

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