守り育てるは命の本能。

エコーズACT0 ECHOES ACT0

2023/02/09改訂

本体名:広瀬康一 <ヒロセ・コウイチ>

プロフィールJC34巻P145〜

能力:何もできない卵型スタンド

スタンド形成法射程距離パワー
身体・能力顕現体 不明なし

スタンド解説

エコーズACT0は、ジョジョの奇妙な冒険第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場する平凡な高校生、広瀬康一が、生物からスタンド能力を引き出す道具である「矢」に射られて発現させたエコーズの最初期形態である。その姿は高さ1m弱のただの「卵」で、見た目どおり何もできない。

広瀬康一
「卵」のスタンド

「矢」という道具は生物を射抜くことで、物質世界からその生物の精神世界へとつながる「穴」を空けることができる。そして「矢」に射抜かれた者は、「類まれに強い精神力」あるいは「強力すぎる個性」でもって、「穴」から物質世界へと漏れ出す自らの精神エネルギーに「姿かたち」を与えることで、スタンド使いとなる。逆にそれができなければその者は、スタンド使いになれないだけでなく、形を成せない精神エネルギーが穴から漏出し続け、短時間で死んでしまう。

これを踏まえて広瀬康一は、「精神力」も「個性」も充分ではなく、ゆえに矢で射抜かれて死にかけていた。しかしそこを東方仗助のスタンド、傷を治す能力を持つ「クレイジー・ダイヤモンド」に救われる。そしてその結果彼は、「目覚めさせるべき能力が無い」スタンド使いとなった。

このため康一のスタンドは、形を成せないスタンドエネルギーをとりあえず殻で包んだ、「卵型のスタンド」として発現したと考えられる(なお、康一のように矢で死にかけている者にクレイジー・Dを使えば必ず命が助かるのか、そして必ず卵型のスタンドが発現するのかは不明である)。

そしてこの「殻」によって時間の猶予を得た康一のスタンドエネルギーは、受精卵の内部でヒヨコが形作られるように、物質世界で生存できるだけのスタンド体を作り出して、後に生物の幼生のような姿のスタンド「エコーズ(ACT1)」となって産まれることになる。

ちなみに後に漫画家岸辺露伴が人間を「本」に変えるスタンド「ヘブンズ・ドアー」で読んだ康一の記憶によると、康一自身も「未熟児」として産まれており、外界で生存できるようになるまで7日間カプセルに入れられていたそうである。

またエコーズはジョジョ4部の中盤までにかけて、幼生型のスタンドからさらに脱皮を行い、小動物型の「エコーズACT2」、人型の「エコーズACT3」へと成長していく(なお作中でのエコーズは、卵の時点では名前は付けられていないのだが、当サイトでは便宜上これを「エコーズACT0」と呼んでいる)。


成長していくエコーズの各形態が持つ能力は、その根底の部分で共通している。その共通する能力とは、音やその他の「一過性の振動のエネルギー」、そのままではすぐに掻き消えてしまうエネルギーを、包み込み、あるいは固めて持続させることである。

具体的には、ACT0はスタンドエネルギーを殻で包み込む。ACT1は「音」を固めて繰り返し響かせる。ACT2はさらに強力に固めた「音」で「熱」や「風」などの感覚を増幅して現実化する。そしてACT3は両拳の殴打で作り出した「重力場の凹み」を持続させて擬似的な「重さ」へと変える。

そしてこれらエコーズの包み、繰り返し、増幅し、堅持する能力は、広瀬康一が持つ他人や社会のために危険を顧みず行動しようとする、「社会性の本能」から生まれている。

繰り返されるは命の営み

エコーズの本体広瀬康一は、杜王町という社会で生まれ育った平凡な学生である。「社会」とは言うまでもなく「個人」という命の集まりから成っている。そして「命が集まる」のは、「適者生存」と「自然淘汰」で獲得された人間の本能である。

人間の命の一つ一つは広大な世界と悠久の時間の中で見れば、まるで小さな音のように、いっとき弱々しく響いて消え去る定めのものである。しかし命は寄り添い集まることで、簡単には掻き消えない力強さを獲得できる。そしてまたそれらの命は次の世代を生むことで、長い時を響き続けることができる。人間はそうして世界の中で生き抜き、存続してきたのである。

人々は集まり、ルールを決めた社会を作り、ルールを守らない犯罪者や外敵があればこれと戦って社会を守り、そうして堅持される社会の中で安心して暮らし、次世代の要となる子供を安全に産み育てる。これらは命の営みとしては、動物でもできるかなり低次なものである。しかし低次であるがゆえにこれらは、命の存続のための最も重要な基盤といえる。

ある種の人間は時に、赤の他人や社会全体を脅かす危険に対して、自分の無力さを自覚した上で、自分の命を顧みずに行動することがある。自分の命を第一に考える者からすればその行動は理解に苦しむことかもしれない。しかし、今の自分が社会からの庇護がなければ存在さえしなかったという想いが強い者や、社会を存続させてきた「内なる命の本能」に衝き動かされる者にとっては、その行動は呼吸するように当然のことである。

そして他人や社会のために打算も損得勘定もなく、危険を冒すその行動は紛れもなく、「心の強さ」の一つである。

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『エコーズACT1』
第1形態(幼生体型)。非常に脆弱なスタンドだが、それを逆に利用して微弱な「音」の振動を優しく捕まえ、操ることができる。
『エコーズACT2』
第2形態(小動物型)。「音の感覚」を他者に与え、強風で吹き飛ばしたり熱で火傷させたりできる。
『エコーズACT3』
最終形態(人型)。太鼓の膜を叩いて凹ませるように「重力場」を殴って凹ませることで、対象に「重さ」を与えることができる。
『広瀬康一とスタンドの関係』
エコーズがどのような過程を経て成長していったのかを説明。
『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』
ジョジョ6部に登場するスタンド。「無重力」と「真空」を生み出す能力を持つ。本体であるラング・ラングラーの性格は、広瀬康一とは真逆で極度に利己的である。