シルバーチャリオッツ
SILVER CHARIOT：銀の戦車
Tarot-No.7
本体名：ジャン＝ピエール・ポルナレフ
プロフィールJC16巻P26
能力：甲冑をまとい剣を振るう騎士のスタンド
| スタンド形成法 | 射程距離 | パワー |
|---|---|---|
| 身体・能力戦闘体 | 2m | 高 |
当ページの要点
- ジョジョ3部に登場するスタンドは全て、「生命の樹」と呼ばれる図形に関係している。
- タロットのスタンドは生命の樹の図上で「変化」を表すパスに対応する。
- 「戦車」のパスは成長するものが、分野内から成長に役立つ材料を切り出す「分割」を行う。
- シルバーチャリオッツは切れ味鋭い剣を操る「騎士」のスタンドである。
タロット解説（読み飛ばし可）
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ジョジョ3部に登場する22枚の「タロットカード」は、占いの道具としてよく知られ、それぞれのカードにはさまざまな解釈が与えられている。そしてその解釈法の1つに、『生命の樹』と呼ばれる図像を絡めたものがある。生命の樹とは、宇宙・生命・人類・個人など、この世界の中で進化・成長する全てのものが、成長する際に辿る変化の共通性を図像化したものである。
「セフィロトの樹」とも呼ばれるその図は、「状態」を表す10個の円形「セフィラ」と、円形同士を結び「変化」を表す22本の小径「パス」から成り、タロットはパスの方に対応している（また3部後半に登場する「エジプト9栄神のカード」はセフィラに対応している）。
そして22枚のタロットのうち、「開放せしもの」を暗示する「ゲブ」のセフィラと、「分割せしもの」を暗示する「セト」のセフィラを結ぶ「戦車」は、「材料要素の分割」を暗示するカードである。
生命の樹において「法皇」のパスの反対側に位置する「戦車」は、「法皇」で行われる「探索」への対応として「分割」を行うパスである。探索によって分野内に見つけ出された材料要素はその時点では、宝石の採掘現場の岩塊のように、玉石混淆の状態にある。この状態の材料要素から価値や意味のあるものを切り出すのが「戦車」の行う「分割」である。
またこの分割には、物理的ではなく「認識」として行われるものも含まれる。例えば人は目の前の光景を、まず「ひとかたまりの映像」として捉え、次いで映像の中に含まれる個々の物体を脳内で切り出す。これもまた「戦車」が行う「分割」に該当する。
こうして切り出された材料要素は、「戦車」の先のパスで成長のために利用され、成長に役立つものほど良い要素ということになる。ここで仮に、成長に役立つ要素を「白」、邪魔になる要素を「黒」と呼ぶことにする。
単純に考えれば自分の「肉体」「家族」「道具」など、自分の味方になってくれるものは白、自分の円滑な活動を邪魔するものは黒である。しかし自分の邪魔になる黒の要素でも、それが自分に程よい試練を与えて成長させてくれるなら、それは白ともいえる。また自分の味方になる白の要素でも、それが便利すぎて自分を成長させてくれないなら、それは黒ともいえる。
このように材料要素の黒白は考え方次第で複雑に入れ替わる。またある要素が結果として自分にとって白だったのか黒だったのか「灰色」な場合も少なくない。
多くの人は自分の人生が、自分に都合の良い白の連続だけで輝かしく進むことを願う。しかしそれは多くの場合叶えられることはない。そうである以上、自分の人生が黒と灰色にまみれることを覚悟し、それらとともに歩む中で白を求めていく「銀」の輝きのような生き方こそが、人に選べる次善の道であり、そう生きられるかどうかは自分の心にかかっている。そしてその意志は自分ひいては世界を、さらなる成長に導くだろう。
スタンド解説
シルバーチャリオッツは、ジョジョの奇妙な冒険第3部「スターダストクルセイダース」の登場人物、ジャン＝ピエール・ポルナレフのスタンドである。
チャリオッツは鈍く銀色に光る甲冑をまとい、銀色に煌く剣を操る「騎士」のスタンドである。その銀色の甲冑は見る角度によって黒白が入れ替わり、肩当てや肘など身体各部には大きく目立つトゲが付き、兜の奥には大きく丸い目が覗いている。またこのスタンドが手にする刃渡り1mほどの剣は、フェンシングのそれに似た刀身と鍔（つば）を備える。
生まれつきのスタンド使いである本体ポルナレフは、「人並み外れた霊的な感受性」を生まれ持った人間である。ただ幼少時の彼にとって、人より多くを感じ取れてしまうこの霊的才能は、「常に気を散らされてしまう」という欠点でしかなかった。
そこで幼少時の彼は無意識的に、2つの方法でこの問題に対処する。1つは感じ取れてしまう多くのものを遮断するために、自分の体表に霊的な「防壁」を作ったこと。もう1つは気が散らされている状態でなお必要なものに意識を向けるために、「鋭い集中力」を身につけたことである。
そしてこの2つの性質は彼のスタンドにも反映される。つまり体表の防壁はチャリオッツの「甲冑」となり、鋭い集中力はスタンドエネルギーを細く硬く凝縮させた「剣針」を作り出すことを可能とする。こうしてチャリオッツは「騎士」のごとき能力を獲得したのである。
スタンドエネルギーを高密度に凝縮して作られているチャリオッツの剣は、フェンシングの剣針と同じ形状をしており、硬さと柔軟性を兼ね備えたその刃は良くしなる。ただ一方でその刃はフェンシングのそれと異なり、先端で「突く」だけでなく側面で「斬る」こともできる。
そしてその剣さばきは、ポルナレフの10年近い修行により速くかつ精確を極める。特に刺突の連撃のスピードと威力は、スタープラチナの「オラオラのラッシュ」にも引けを取らない。
またチャリオッツの剣針は、ロケットのように鍔の部分から撃ち出すことも可能である。これは剣針の根元部分のスタンドエネルギーの凝縮を解除して、小さな爆発を起こすことで行われる。
この技の主な使用方法は、敵と自分との間に遮蔽物がある時に、敵に見えないように剣針を撃ち出し壁などで跳ね返して、敵の死角から首筋などの急所へ突き刺すことである。ただし撃ち出された剣針は自動で戻ってきたりはしないため、これで敵を仕留め損なうと素手での戦闘力がほとんどないチャリオッツは手詰まり状態に陥ってしまう。このためこの技はポルナレフにとって最後の奥の手である。
なおポルナレフの集中力で作られている剣針は破壊されても彼の体にダメージを返すことはないが、破壊された後で再び形成するには1分前後の時間が必要なようである。
チャリオッツが全身にまとう「防御甲冑」は、剣と同じくスタンドエネルギーを凝縮させて作られている。ただし剣ほど高密度には作られてはいないため、その硬さは普通の人型スタンドの肉体を少し上回る程度といったところである。それでもこの甲冑は、中の人型スタンドとそれに対応しているポルナレフ本体を守る用途は十分果たせる。
さらにポルナレフはこの甲冑をあえて脱ぎ去ることで、スタンドを身軽にして動作のスピードアップを図れる。前述したとおりこの甲冑は元々は、ポルナレフの鋭敏すぎる感覚を遮断する「防壁」である。そしてそれを脱ぎ去ればポルナレフが普段封印している感覚力は完全に解放される。その結果チャリオッツは、一回り細身になったその体と併せて、ポルナレフの鋭敏な感覚と同じ反応速度で動けるようになる。
ちなみにチャリオッツが甲冑を脱ぐ際には、前述した剣針を飛ばす技と同じく、甲冑内側のスタンドエネルギーの凝縮を解除することで、圧縮空気のように甲冑を吹き飛ばし、全身の装甲を一挙に脱ぐことができる。
そして甲冑を脱ぎ捨てたチャリオッツは、ポルナレフの半径2mの射程内で超高速移動させることで、扇風機の羽のように「残像」を多数生み出すこともできる。その数は実体と残像を合わせて最大7体である。
ただこれらの残像群が繰り出す攻撃は、スピードが速いぶん一撃一撃の重さは軽い。このためこの技は、無数の剣撃で空間を埋め尽くして、敵の攻撃を跳ね返しながら「面」の剣撃で敵を削っていく技といえる。
なお、このように「ポルナレフの集中力」に大きく依存して形作られているチャリオッツは、「ポルナレフの視界外」では集中力が行き届かずに機能不全を起こすことがある（高水圧下で生きる深海魚が浅瀬に引き揚げられたときのように）。この状態のチャリオッツは外見に変化はないが、「目」などの精密な感覚器官は機能を失って何も見えなくなり、甲冑の強度は低下し、剣を振る速さや切れ味も大きく鈍ってしまう。この現象は3部序盤のエボニーデビル戦で起こっていた。
またこの「集中力に依存する」チャリオッツの性質は、3部終盤のクリーム戦で、「射程の増加」という現象も見せている。通常スタンドのパワーは、電球の明かりのように本体から離れるほどに弱まってしまう。しかしポルナレフは集中力によって懐中電灯の明かりのようにスタンドエネルギーの指向性を高め、高パワーを維持したままチャリオッツの射程を10mほどに伸ばせるのである。
ただしこのチャリオッツの射程増加は、ジョジョ3部のセミファイナルバトルで、ポルナレフの激情と恐怖が極限を超えた結果、一時的に起こった例外的な現象でしかなく、いつでも行えるわけではない。
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