ジョセフ・ジョースターその長寿の秘訣

ジョセフ・ジョースターは、ジョジョの奇妙な冒険第2部「戦闘潮流」の主人公である。

ジョセフ・ジョースター

そして、1920年9月27日生まれ、2部時点(1938〜1939年)で18歳だった彼は、2部から50年後のジョジョ3部(1988〜1989年)には、孫の空条承太郎と同じ体格の68歳の老人として登場し、さらに10年後のジョジョ4部(1999年)には、すっかり老け込んだ78歳の老人として登場する。

3部ジョセフ(右)
4部ジョセフ

なおこれ以降の部にはジョセフは登場しないが、作者の荒木飛呂彦氏によると、ジョジョ6部(2011〜2012年)でもジョセフはまだ存命だったそうである(年齢は91歳となる)。

2部の終盤でスピードワゴンは、「ジョースター家の男は代々短命」と語っている。これはジョジョ1部の主人公ジョナサンの父ジョージから、ジョナサン、その息子ジョージII世までが全員早逝したことからのジンクスである。

ジョースター家短命の伝統

つまりジョセフはそのジンクスを破って長生きしたわけであるが、それには彼の幼少期にまつわる理由がある。

物心ついてからずっと祖母のエリナに育てられたジョセフは、祖父のジョナサンが吸血鬼に殺されたことも、両親が若くして死んだことも、幼いうちに聞かされていた(実際には母親のエリザベスは生きていたのだが)。またジョセフは、エリナが自分を見る目から、自分が祖父や父に生き写しであることも感じ取っていただろう。

自分と同じ顔をした祖父と父は若くして亡くなり、母親もまた亡くなってしまっている。それは幼いジョセフにとって、自分の家系は代々呪われており、自分もまた突発的な事故で不意に死ぬのではないかという強い恐怖を感じさせるものであっただろう。

ゆえに幼いジョセフはその恐怖から、自分の周囲を過剰なほどに警戒する幼少期を送ったと考えられる。

しかしそうして周囲を警戒し続けたジョセフは、そのうち自分の推測がむしろ逆であることに気付く。つまり自分の身の回りで起こることを観察する限り、自分は絶望的に不運などころか、確率的に不自然なレベルで強運だと考えざるを得なかったのである(この理由は、ジョジョの世界に存在する「運命を操るもの」が、ジョースターの血統に加護を与えているからなのであるが、ここでは深くは触れない)。

そしてこのことからジョセフは1つの結論を出す。ジョースター家は基本的には異常なほど強運である。にもかかわらず祖父や父が死んだのは、ジョースターの強運すら及ばない強大な危険に挑んだからである。そしてこれは逆に考えれば、ジョースターの血を引く自分は、些末な危険ではまず死ぬ心配はないということでもある。

ジョセフは遅くとも10代前半には上記のことを理解していた。それがわかるのは2部序盤のスピードワゴンの回想で描かれた、13歳のジョセフのエピソードである。

このエピソードでジョセフ少年は、スピードワゴン所有の自家用飛行機に乗っていたところをハイジャックに巻き込まれるが、パイロットを「波紋」で気絶させ、墜落する飛行機からシートにくるまってスピードワゴンとパイロットとともに脱出し、山の斜面に滑り落ちて無傷で助かる。

墜落する飛行機から脱出したジョセフたち

これは常識で考えれば、あまりに危険で不確実で命の保証がない方法である。しかしジョセフは、チンピラが起こしたハイジャック程度で自分が死ぬわけがないことも、スピードワゴンとパイロットも自分の強運で守りきれることも確信していた。だからこそこのような無茶な手段をためらいなく実行して、実際に助かったわけである。

こうしてジョセフの性格は、死の恐怖に怯える幼少期から一転して、やたらと楽観的なものになる。しかしその一方で、幼少期にジョセフの魂に染み付いた「周囲を常に警戒する」癖は、その後も彼の中に残り続ける。2部作中を通して彼が見せる「目ざとさ」や「抜け目のなさ」はその賜物である。

そして周囲を人並み以上に観察し、それらを自分の行動に活かすジョセフの生き方は、その後何10年もの人生の中でさらに洗練され、老獪なものとなっていく。

人間は老化によって、体が上手く動かなくなったり、反射神経が衰えたりすることで、日常生活の危険が増え、それが突発的な死につながったりする。4部のジョセフもまた、肉体は衰え、頭はボケ始めていた。しかしジョセフはそれらが日常生活に招く種々様々な危険を、もはや本能的なレベルに達した危機察知能力で目ざとく抜け目なく回避していく。

こうしてジョセフは、6部でジョジョの世界そのものがいったん終わる時まで、生き残り続けたわけである。