ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム GOLD EXPERIENCE REQUIEM

2023/02/09改訂

本体名:ジョルノ・ジョバァーナ<Giorno:明けの白日>

DIOの息子、本名「汐華初流乃」<シオバナ・ハルノ>、
プロフィールJC63巻P186、エピソードJC47巻P154〜

能力:自身へのあらゆる攻撃を無効化する

形成法射程距離パワー
身体・能力加形体 2m

当ページの要点

  • レクイエムとは地球上の全生物の「集合無意識」から引き出される超能力である。
  • 集合無意識には「生命の歴史の経験則」として「正しい方向へと進化する力」が眠っている。
  • ゴールド・E・レクイエムは生物が正しい未来へと進んだ「黄金の未来」をかりそめに目覚めさせる。
  • それを宿したゴールド・E・レクイエムは「未来」に引き上げられ、「今」に在るもののどんな攻撃も到達することはない。

黄金の未来(読み飛ばし可)

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「生命の進化」は我々が生きるこの地球上で、数10億年に渡って行われてきた。その道のりは全体的に見てある一つの方向、より複雑な構造の生物を創造し、より高度な自由と、より幅広い適応力を獲得するという方向へ進み続けている。それはこの宇宙における進化・成長の「正しい方向」といえるものである。

しかしこの進化という現象は、真っ直ぐな水路を流れる水のように滑らかに進むことは難しい。なぜなら生命は、原子や分子という物理法則に支配される物質を材料にして作られているからである。例えばレゴ細工はレゴブロックの形状の制約を受け、作れない構造があったり、遠回しな作り方をしなければならない構造がある。

これと同じく生物の構造も、材料となる物質の制約を受け、その結果作られる生物は、生命の理想から多かれ少なかれ外れた、「いびつさ」や「醜さ」を抱えたものにならざるを得ない。

そしてこの物理的制約は、「生命進化の道」における「地形的障害」となって、生命の「正しい方向」への進化を妨げる。このため生命は時として、障害物に阻まれて「正しい方向」へ抜け出ることができずに延々さまよい続ける「灰色の未来」に陥ったり、いつの間にか「悪しき方向」に針路を取る「真紅の未来」へと進んでしまったりする。

そしてそうなってしまった時、生命はどうにかして「正しい方向」への流れを取り戻さなければならない。それを成せるであろう手段の一つは、これまでの生命の歴史を「正しい方向」へと進んできた経験則を、全生命が協調して発揮することである。さらにその際にはこの活動を統括する「旗手」も必要となる。

これらによって生命が正しく導かれるならば、生命はどれだけ彷徨おうと、何度道を誤ろうと、最後には必ず正しい方向への進化が行き着く場所、「黄金の未来」へと辿り着けるだろう。

能力解説

ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムは、ジョジョの奇妙な冒険第5部「黄金の風」の主人公、ジョルノ・ジョバァーナのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」を特殊な「矢」で貫くことで発現した、「レクイエム(鎮魂歌)」と呼ばれるスタンドを超えた存在である。

ジョルノとゴールド・E

その特殊な矢は、古代人が作り出したとされるスタンド能力を引き出す6本のうちの1本であり、この1本には他の矢とは異なる特別なパーツが付いている。

レクイエムの矢

生物を矢で貫くことによって発現する「スタンド」は、その生物一個体の「個性」が能力となって引き出されたものである。それに対して、スタンドをさらに矢で貫いて引き出される「レクイエム」は、生物の精神のさらに奥深く、地球上の生物すべてに共通する「集合無意識」から引き出される。つまりレクイエムは集合無意識を本体とする能力である。

地球上の生命進化とともに成長してきた集合無意識には、「正しい方向」へ進化しようとする力が備わっており、上手く使えば強大な邪悪を滅する切り札となる。しかし一方で集合無意識は、地球上の全生物の精神を混ぜ合わせて「均質化」したものであり、本来霊的な領域にあるべきそれを物質世界に呼び出せば、パンドラの箱を開いたような「災厄」をもたらす恐れもある。つまりレクイエムの力は両刃の剣であり、軽々に使われるべきものではない。

ジョルノ・ジョバァーナは「希望と未来」を固く信じる少年であり、黄金の光放つ彼のゴールド・Eはその体現といえるものである。そしてこのスタンドから発現したゴールド・エクスペリエンス・レクイエムは、集合無意識に宿る「正しい方向」へと進化する力、それによって辿り着ける「黄金の未来」を、今の世界にかりそめに呼び覚ます。そして顕現した「黄金の未来」は一つの意識体、「未来の意識」となってゴールド・Eに宿り、その姿を変容させる。


ゴールド・Eから脱皮して現れたゴールド・E・レクイエムの姿は、ゴールド・Eに半ば似て半ば異なる。その全身は夜明け前の空のように薄暗く薄明るく染まり、その眼球は遥かな前方を見つめるかのように固定されて全てを見透かすかのごとく輝く。そして額には「矢」が上に先端を向けて座している。

ゴールド・E・レクイエム
固定された眼球と額の矢

ゴールド・E・レクイエムはゴールド・Eと同じく本体ジョルノの意志によって操作され、ゴールド・E本来の「生命を生み出す」能力もそのまま使うことができる。 このように「未来の意識」は自分からは何もしないが、それが宿っていることによりもたらされる効果こそが、ゴールド・E・レクイエムの最大の能力となる。


「未来の意識」のもたらす効果、それはこの意識を宿すゴールド・E・レクイエムと本体ジョルノの存在を、「今」に対して「未来」へと引き上げることである。これは進み続ける時間の「今」に対して常に「未来」に在り続けるということである。これにより、「未来」に存在するゴールド・E・レクイエムと、通常どおり「今」に存在する周囲の世界との間には、「今」から「未来」へと登る、円錐状の「時間の坂」が生じる(ただし通常の3次元空間とは別の次元での傾斜であるその坂は、目ではその高低差を見ることはできない)。

なお、この「時間の坂」の半径は作中での描写から約5mと推察され、その斜面はゴールド・E・レクイエムに近づくほどに急勾配になっていく。


何者かがゴールド・E・レクイエムに攻撃を行おうとした場合、攻撃者は気付かぬうちに「時間の坂」へと入り、その中を「今」から「未来」へと登ることになる。しかし「時間の坂」の頂上はゴールド・E・レクイエムとジョルノのみが存在することを許された場であるため、攻撃者も、その攻撃も、決してゴールド・E・レクイエムに到達することはできない。

そして攻撃者は「時間の坂」を登る中で、周囲の時間が「今」へと落ちて行く、つまり「過去へと逆行」するのを目撃し、次いで自らも「時間の坂」をずり落ちて強制的に「今」へと戻され、その攻撃自体を「行われなかった」ことにされてしまう。つまり「未来」に在り続ける限りゴールド・E・レクイエムは完全に「無敵」であり、この世界の何者によるいかなる攻撃も、このレクイエムに対しては全くの「無駄」となる。

過去へと逆行する銃弾

なお、攻撃者が「時間の坂」をずり落ちる際には、「時間の坂」の上から見て下方の「過去」にはずり落ちた「未来の自分」が、「時間の坂」の下から見て上方の「未来」にはずり落ちる前の「過去の自分」が存在することになる。この結果、ずり落ちて行く攻撃者は、「過去」と「未来」が相殺された、「連続する今の自分」を「時間の坂」の中に見る。

連続する「今」のディアボロ

また、「時間の坂」をずり落ち弾き出された攻撃者は、「時間の坂」の外で勢いあまって少しばかり「過去」にまで落ち、そして自分が「時間の坂」へ入るまでに行った言動を強制的にもう一度繰り返させられる。


ゴールド・E・レクイエムが何者かに攻撃を行う場合、その攻撃が物体を撃ち出すなどの間接的なものであれば、その攻撃物体は「時間の坂」を「未来」から「今」へと遡ることになる(ちなみにこの時ゴールド・E・レクイエムはその物体を「投げる」などする必要は無く、軽く物体を「手放せ」ば、それだけで物体は「未来」から弾き出されて「時間の坂」で加速され、弾丸のような勢いで「今」へと飛んで行く)。

ゴールド・E・レクイエムから撃ち出された物体

さらにこの時、その攻撃物体の始点は「未来」で、到達点が「今」となるため、奇妙なことだが「今」の世界の者たちは攻撃物体が「放たれた瞬間」を知覚できない。そのためこの攻撃を防御・回避するのは通常では不可能である(「キング・クリムゾン」のように「予知能力」でも持たない限り)。


攻撃がゴールド・E・レクイエム自身による殴打など直接的なものである場合、攻撃相手は「未来」にいるゴールド・E・レクイエムの接近により「時間の坂」の上方へ引き上げられ、「未来」で攻撃を受け、「今」へと落ちることになる。さらにこの時「未来」から下方へと振り下ろされるゴールド・E・レクイエムの拳は、前述した間接的な攻撃物体と同じく、「時間の坂」によって加速されてパワーが増す。

そして、「未来」に「因果」の「原因」が存在するその攻撃ダメージは、「今」において決して「結果」として「完結」することは無く、いったん治っても別の理由によって再び傷つき、これを無限に繰り返すという性質を持つ。特に相手がこの攻撃で「死んだ」場合、その者は無限に「死」を繰り返す状態になる。

この時その者の「精神」は、その者の肉体が原形を保っているうちは肉体に束縛される。しかし肉体が原形を失った後は、その精神はかりそめの肉体を与えられ、そして死んではまたかりそめの肉体を与えられるという「実体を持った幽霊」のような存在となり、世界各地に不規則に現れてはすぐにまた何らかの理由で死に、それを繰り返し続ける「無間地獄」のような状態に陥る。


進化した精神である「未来の意識」は、「今」の世界のいかなる生物の「精神力」も、その「スタンド能力」も、未来から俯瞰できる「精神の高み」にある。 それゆえに「未来の意識」にはいかなる対精神能力も効かない(実際にはそれ以前にその能力のスタンドエネルギー自体が「到達」しない)。また、通常ならば意識を保てないような特殊な能力の状況下(例えば「スタープラチナ」の「時の止まった世界」や「K・クリムゾン」の「消し飛ばされた時空間内」)でも意識を保ち続ける。

しかし本体のジョルノの方はその限りではなく、対精神能力については前述したように「到達」しないので関係無いが、特殊な能力の状況下では普通の人間と同じく意識を保っていることはできない。そしてジョルノの制御を離れたその状況下では、このレクエイムに宿る「未来の意識」自身が口を開いて喋ることもある。

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『ゴールド・エクスペリエンス』
「レクイエムの矢」を使用する前のジョルノのスタンド能力。物質に生命エネルギーを与えて「生物」を生み出せる。
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『スタンドを引き出す「矢」の原理と個性』
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『ジョルノ・ジョバァーナの「天国」への貢献』
ジョルノによるディアボロの打倒が、ジョジョ6部での「天国」の実現に寄与するものであったという説明。